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離婚届けを勝手に出すとどうなる?出された場合の対処法や防止策

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

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妻が【夫婦生活は既に破綻している!】といって勝手に離婚届けを出しに行きました。 署名・捺印は妻が勝手に書いてしまったようです。 この場合、受理されるのでしょうか?また、取り消しは出来るのでしょうか?

離婚届けが受理される条件について

離婚届が受理される条件は、離婚届の記載事項に不備がなく、必要書類がそろっていることです。

本来、協議離婚が成立するためには、離婚届の届出時点で夫婦の双方が離婚意思を有していることが必要です。

しかし、役所の担当者がその意思を確認することは困難なため、形式的審査により、離婚届に不備がなく、必要書類が提出されている限り、受理されることとなります。

今回のご相談の場合、仮にご相談者様が離婚に承諾していない場合であっても、奥様が離婚届を不備なく記載し、署名・捺印され、必要書類を提出されている場合には、受理されてしまうこととなります。

勝手に出された場合はどうしたらいい?

離婚届が自分の意思に基づかずに提出された場合であっても、上述の通り役所では形式的審査により離婚届が受理され、これが戸籍に反映されることとなります。

勝手に出されたことに気付き、これを役所に訴えても、役所が何らかの調査をしてくれることもありませんし、戸籍を訂正してくれることもありません。

戸籍を訂正してもらうためには、離婚無効をご自身で証明しなければならないのです。

離婚について承諾していない場合

離婚について承諾していない場合、戸籍を訂正してもらうためには、「承諾していない」つまり「離婚は無効だ」という事実を、ご自身で証明することが必要となります。

では、どのように離婚無効を証明すればよいのでしょうか。

方法としては、まずは家庭裁判所に離婚無効の調停を申し立てるという方法があります。

調停内で相手方が離婚が無効であることに同意してくれるのであれば、「合意に相当する審判」によって離婚無効が証明されることとなります。

相手方が離婚無効に同意してくれない場合には、調停は不成立となってしまいますので、次に、家庭裁判所に離婚無効の訴訟を提起するという方法をとることになります。

そして、訴訟の中で離婚が無効である証拠等を提出し、裁判所が判決で離婚無効の請求を認めてくれれば、離婚無効が証明されることとなります。

勝手に離婚届を出した場合、刑事罰などの罰則はある?

勝手に離婚届を出す行為については、以下のように刑法上の様々な犯罪が成立することとなります。

①有印私文書偽造罪(刑法第159条第1項)…3月以上5年以下の懲役
②偽造私文書行使罪(刑法第161条第1項)…3月以上5年以下の懲役
③公正証書原本不実記載罪・電磁的公正証書原本不実記録罪(刑法第157条第1項)…5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
④偽造公文書行使罪・不実記録電磁的公正証書原本供用罪(刑法第158条第1項)…5年以下の懲役又は50万円以下の罰金

また、勝手に離婚届を出した後に再婚した場合には、

⑤重婚罪(刑法第184条前段)…2年以下の懲役

が成立することとなります。

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離婚は無効になっても、戸籍など必要な修正手続きがある

離婚無効について家庭裁判所において合意に相当する審判、あるいは判決を得た場合であっても、それだけで自動的に戸籍は訂正されるわけではなく、ご自身で戸籍訂正の申請をしなければなりません。

戸籍訂正の申請は、審判または判決が確定した日から1カ月以内に、審判書の謄本または判決書の謄本、そして確定証明書を役所に提出して行います。

確定証明書は審判または判決を行った家庭裁判所に交付してもらうことができます(手数料がかかります)。

勝手に提出できないように、不受理申出制度をしましょう

これまでご説明してきたように、自分の意思に基づかずに勝手に提出された離婚届であったとしても、一度提出されてしまうとその訂正にはかなりの労力が必要となってしまいます。

そこで、勝手に離婚届が提出されないようにするために、不受理申出制度を利用することをお勧めします。

不受理申出制度とは、本人の意思に基づかない離婚届が提出されても、申し出をした本人自ら窓口に出頭して届出たことを確認することができない限り、届出を受理しないよう役場に申し出る制度です。

この不受理申出は本籍地の役場または所在地の役場に申請書を提出すればよいのですが、所在地の役場の場合には、本籍地へその申出が連絡されるまでにタイムラグが発生してしまうため、その間に離婚届が提出されてしまうと受理されてしまいます。

したがって、結婚相手に勝手に離婚届を出される可能性があり、これを阻止したい場合には、速やかに不受理申出の申請をするべきです。

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監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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