婚姻費用に含まれるものは?内訳や控除できるものについて
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
夫婦が日々の生活を送るには、当然ながら費用がかかります。この費用を婚姻費用といい、離婚をしない限り夫婦2人で役割に応じて分担しなければなりません。別居をした場合は、より収入がある方がない方に対していくらかお金を支払って、婚姻費用を分担することになります。
しかし、分担するといっても、具体的にはどのような費用が婚姻費用に含まれるのか、疑問に感じている方も多いのではないでしょうか?このページでは、婚姻費用の内訳について解説していきます。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-979-039
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メールで相談するこの記事の目次
婚姻費用の内訳
婚姻費用とは、その家庭が資産や収入、社会的地位に見合った生活を営むために必要になる費用であり、含まれる費目としては以下のようなものが挙げられます。
- 衣食住にかかる費用
- 子供の生活費
- 子供の教育費(学費や学用品費等)
- 医療費
- 出産費用
- 冠婚葬祭費
- 常識的に必要と考えられる範囲の交際費
- 常識的に必要と考えられる範囲の娯楽費
実際に金額を決める際には、裁判所が調停や審判で活用している「婚姻費用算定表」を参照するのが一般的です。算定表では婚姻費用の月額をおおまかに算出できるようになっており、それぞれの費目にかかる金額を別個に定めて合計するわけではありません。
そのため、婚姻費用の使い道には特に制限はなく、婚姻費用を受け取る側の配偶者は、支払う側の配偶者に対して何に使ったかを知らせる義務もありません。
合わせて読みたい関連記事
婚姻費用の内訳から控除できるもの
本来であれば婚姻費用に含まれる費用であっても、支払う側の配偶者の口座から引き落としになっているものは、婚姻費用から控除されます。例えば、水道光熱費(受け取る側の配偶者が別居後も自宅に住み続けている場合)や、受け取る側の配偶者の携帯電話代、子供の学校関連費といった費用が挙げられます。
また、別居後も受け取る側の配偶者が、支払う側の配偶者名義の家に住み続けており、その住宅ローンを支払う側の配偶者が負担している場合も、住宅ローン代の一部が控除される可能性があります。
学資保険の保険料は内訳から控除できる?
子供の学資保険の保険料も、通常は口座引き落としの方法で支払われることが多いですが、婚姻費用から控除できるのでしょうか?そもそも学資保険は、子供の将来に向けて夫婦の財産を貯蓄しているようなものなので、離婚時の財産分与で考慮すべきであり、原則として婚姻費用には影響しません。
ただし、婚姻費用を支払う側が学資保険も支払っており、「婚姻費用から学資保険分を控除したい」と主張した場合に、受け取る側がそれを了承すれば、控除することも可能です。一方、受け取る側から婚姻費用とは別に学資保険を支払うよう強制することはできないので、例えば、支払う側が「控除を認めないなら学資保険を解約する」と言ってきた場合、受け取る側が解約を希望しないのであれば、婚姻費用から控除せざるを得ないこともあるでしょう。
子供の私立学校の学費や習い事代は婚姻費用に含まれるか?
婚姻費用算定表では、子供が公立学校に通っていることを前提として、婚姻費用の金額を設定しています。そのため、子供が私立学校に通っているのであれば、婚姻費用の増額について交渉する必要が出てきます。
私立学校の学費分の請求が認められるのは、「支払う側も私立学校に通うことを了承している場合」または、「夫婦双方の学歴や職業、資産、収入、住んでいる地域の進学状況等を考慮して、私立学校に通うことが相当と判断される場合」になります。
なお、習い事や学習塾の費用の請求については、基本的に認められません。ただし、支払う側が了承していたり、「子供が受験期で塾に通う必要性がある」といった事情があったりすれば、認められる余地はあります。
想定外の出費!突然の入院でかかった医療費は婚姻費用として請求できる?
婚姻費用には配偶者や子供の医療費も含まれているため、通常生活していて必要になる範囲の医療費を、婚姻費用に上乗せして請求することはできません。
ただし、突然の入院といった、婚姻費用について取り決めをした際には想定し得なかった事情が生じて、医療費がかさんでしまったような場合には、婚姻費用の増額が認められる可能性があります。なお、一度決めた婚姻費用であっても、夫婦双方の合意があればいつでも変更できますが、合意が得られなければ、婚姻費用増額請求の調停を申し立てることになります。
婚姻費用の内訳から加算・減算すべき費用の判断がつかない場合は、弁護士へご相談ください
算定表から算出される婚姻費用の金額には、1万~2万円の幅が設けられており、個別の事情を考慮する際には、通常はその幅の中で調整をします。しかし、住宅ローンがあったり、子供が私立学校に通っていたりする場合は、調整する金額が大きくなるため、争いになってしまいがちです。
そのようなケースで夫婦が自分たちだけで話し合いをしても、適正な金額を決めるのはなかなか難しいかと思われます。そのため、婚姻費用に含めるべきか悩ましい費目がある場合は、一度弁護士に相談してみてください。弁護士は家庭の状況をしっかりと調べたうえで、適正な婚姻費用を算出するので、問題の解決につながるでしょう。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-979-039
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メールで相談する婚姻費用に関するQ&A
- Q:
生活保護を受けている場合、婚姻費用に影響はありますか?
- A:
生活保護費をもらっているという事実が、婚姻費用の算定の際に影響することはありません。生活保護は、自力で生計を立てることができず、親族からの援助も受けられない場合に認められるものです。つまり、生活保護よりも配偶者からの扶養が優先されるべきであり、相手が生活保護を受けているからといって、支払う側の婚姻費用の分担義務がなくなったり、減額が認められたりすることは基本的にありません。
もちろん、生活保護を受けている人が、婚姻費用を受け取ることで生活が成り立つようになったのであれば、役所にきちんと申し出ないと不正受給になるおそれがあります。
- Q:
児童手当を受給している場合、その分婚姻費用は減額されますか?
- A:
児童手当は、中学生以下の子供を養育している人に対して支給される公的な手当であり、手当が支給される前よりも子供の生活水準を高めることを目的としています。
そのため、例えば、婚姻費用を受け取る側である妻が子供を養育している場合、妻が児童手当を受給していることを理由に、婚姻費用を減額することは認められません。もちろん、夫が児童手当の受給者となっているのであれば、婚姻費用に児童手当分を上乗せした金額を妻に支払う必要があります。なお、このようなケースでは、妻は速やかに役所で受給者変更の手続きを行っておくべきでしょう。
- Q:
自分名義の死亡保険で受取人が妻の場合、保険料は婚姻費用の内訳から控除できますか?
- A:
自分が死亡保険の契約者(保険料を支払う人)かつ被保険者(保険の対象となる人)であり、受取人(保険金を受け取る人)が妻の場合、自分が死亡したら妻が利益を得ることになるため、保険料を婚姻費用から控除したいと考えるかと思います。
しかし、死亡保険や医療保険といった生命保険も、学資保険と同じく夫婦が将来のために積み立てているお金なので、財産分与の対象であり、婚姻費用には関係ありません。よって、基本的に婚姻費用から保険料分を控除することはできません。
なお、財産分与では、保険の解約返戻金を2人で分配するというやり方がありますが、契約を継続したい場合は、解約返戻金の見込額から定めた分配額を契約者が相手に支払って清算したうえで、受取人を変更するという方法をとることもできます。
婚姻費用に関する問題は弁護士へお任せください
婚姻費用を受け取る側としては、別居中の生活のことを考えて、できる限り早めに婚姻費用をもらいたいところかと思います。一方で、支払う側としても、子供の学費のため等と理由をつけて極端に高額な婚姻費用を請求され、首が回らず困ってしまうという事態は避けたいところでしょう。
婚姻費用で損をしないためにも、ぜひ弁護士に依頼することをご検討ください。弁護士法人ALGでは離婚問題に関するご相談を数多くいただいており、その豊富な経験をもとに高度なリーガルサービスを提供しております。婚姻費用についてお悩みの場合は、お気軽に弊所にご相談ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-979-039
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メールで相談する- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)