離婚調停での不利な発言とは?不利な状況にならないために気を付けること
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
離婚問題について、夫婦間での話し合いで折り合いがつかなければ、次に家庭裁判所に離婚調停を申し立てて話し合う手続きに進むのが一般的な流れです。
離婚調停では、相手と直接話さずに調停委員を介して話し合いを行います。調停委員が双方の意見を聞きながら助言したり、調整したりして進めていきます。
調停委員は中立公平な立場にありますが、不利な発言をすると、相手の味方のようになってしまうこともあり得ます。
では、いったい離婚調停において、不利になる発言とはどういうものなのでしょうか?
そこで、本記事では、“離婚調停で避けるべき不利な発言”や“離婚調停での発言で不利にならないために気を付けること”などをわかりやすく解説していきます。
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離婚調停で避けるべき「不利な発言」とは?
離婚調停で話す相手は、配偶者でなく、第三者である調停委員になります。
調停委員は公平・中立な立場ですが、話を聞いて、「申立人(相手方)の言い分が相当だ」と考える方向に他方を説得することもあります。
ということは、当方が不利な発言をしてしまうと、調停委員は相手の味方になり、こちらを説得してくることもあり得るのです。
よって、離婚調停を有利に進めたいのであれば、どんな発言をすると不利な発言になるのか把握しておいて気を付けておくことが得策です。
具体的に不利な発言とはどういう発言なのかは、次項で詳しく解説していきます。
相手の悪口や批判する発言
離婚調停中、感情的になり、相手の悪口や攻撃的な発言が増える人がいます。
例えば、「夫は、収入が低いくせに家事も子育ても手伝わずに横柄な態度をとるひどい人なんです。」や「妻が作る料理はまずいし、部屋もなかなか掃除しないし、妻として最低なんです。」といった発言です。
離婚調停は愚痴を吐き出す場所ではありません。
調停委員が聞きたいと思っているのは、離婚原因となる具体的な事実です。
どれだけ相手の悪口を言っても、離婚調停はうまく進みません。
さらに、相手への悪口や攻撃的な発言は、調停委員から「感情的な人だ」というイメージをもたれて心証を悪くしてしまいます。
嘘や矛盾がある発言
離婚調停において、嘘はもちろんですが、矛盾のある発言もしてはいけません。
例えば、「夫は子育てを一切手伝わない」と言ったかと思えば、「夫は家にいるとき子供と遊んでばかりで家事一切を私に押し付けてくる」と言ったり、「浮気をしてしまいました」と不貞行為を認めたかと思えば、後日「浮気なんてしたことありません」と一貫性のない発言するといったケースです。
調停委員から「自分に都合のいいようにしか考えられない人だ」、「信用できない人だ」と思われてしまい、どんな発言をしても説得力がなくなって結果的に離婚調停が不利になってしまいます。
具体性に欠ける発言
具体性に欠ける発言も離婚調停では控えるべきです。
例えば「夫は浮気をしていると思います。証拠はありませんが女の勘でわかります。」といった抽象的な発言です。抽象的な発言では、調停委員が正当な判断をすることができません。
それでも、調停委員は相手に浮気をしていたかどうかの事実確認をしてくれますが、相手が否定すれば、それ以上浮気していたかどうかを確認する方法がありません。
調停委員は離婚調停において、離婚原因となる具体的な事実を聞こうとしています。
離婚調停では、証拠を用いたり、実際にあった具体的なエピソードを交えて事実を主張するようにしましょう。
希望条件にこだわり過ぎる発言
離婚調停では、希望条件に固執し過ぎる発言も控えるべきです。
例えば、「相手が離婚したいと言ってきたんだから、親権は譲らないし、財産分与もしない。」や、「慰謝料は最低でも300万円以上じゃないと絶対に離婚に合意しない。」というような発言です。
離婚調停はあくまでも話し合いの手続きですので、こちらの希望条件に相手が合意すれば問題ありません。
しかし、折り合いがつかなければ、調停不成立となります。
調停委員も「希望条件を譲歩できないのであれば、離婚裁判で争ってください。調停はもう終わりにしましょう。」と言ってくるでしょう。
離婚裁判で争うのもひとつの方法ですが、離婚裁判まで進むと決着がつくまでに時間がかかります。さらに多大な時間を費やしたにも関わらず、敗訴して希望条件が叶わないおそれもあります。
離婚調停を有利に進めるには、どうしても譲れない条件と譲れる条件を整理して、柔軟な話し合いによって折り合いを付けようとすることが大切です。
逆に安易に譲歩しようとする発言
離婚調停では、安易に譲歩しすぎる発言もよくありません。
離婚裁判のように適正かつ公正な判断で解決を図るというのと違い、離婚調停は当事者間でどこまで折り合えるのかを探って調停を成立させようとするものです。
例えば、ご自身が慰謝料300万円を請求しているにも関わらず、相手は100万円しか支払えないと言っているからといって、すんなりと慰謝料100万円で合意してしまうケースです。
安易に譲歩してしまうと、調停委員は、「この人なら説得に応じてくれる」、「押せばなんでも受け入れる人だ」との印象を抱かせてしまいます。
すると、財産分与や養育費などのほかの離婚条件についても相手の希望、主張に基づいて離婚調停が進んでしまい、結果的に不利な内容で離婚調停が成立してしまうおそれがあります。
離婚調停では、安易に譲歩せずに、譲れる部分は譲りつつ、譲れない部分はしっかり主張して進めなければ、あとになって後悔してしまいます。
交際相手がいることを認める発言
確かに理論上は、離婚調停よりも前に夫婦関係が破綻していた場合は、離婚調停中に配偶者以外の者と交際をしていても問題ありません。
しかし、まだ別居していなかったり、相手が離婚を拒否していたりするような状況で、離婚調停を進めている場合は、配偶者以外の者と交際していることを認める発言をすれば、夫婦にある貞操義務に違反した行為である「不貞行為」と判断される可能性があります。
不貞行為をした者は、離婚原因を作った責任のある配偶者である「有責配偶者」となります。基本的に有責配偶者からの離婚請求は認められていません。
さらに、慰謝料請求されると支払義務も負います。
夫婦関係が破綻してからの交際であっても、離婚調停において、交際相手がいることを認めてしまう発言は、夫婦関係が破綻した原因が交際相手の存在なのではないかと疑われてしまい、離婚調停が複雑化するおそれがありますので控えるべきです。
離婚調停中の浮気について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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発言以外で不利になる離婚調停中の行動とは?
離婚調停中には、不利になる発言以外にも、次のような行動をすると、離婚調停が不利なかたちで進んでしまう可能性があり、調停委員からの心証も悪くなるおそれがあります。
具体的には、次のような行動が挙げられます。
- 配偶者以外の者と交際する
- 配偶者に直接連絡する
- 配偶者に嫌がらせをする
- 離婚調停を欠席する
- 一方的に別居を始める
- 子供を連れ去る
- 勝手に共有財産を処分する など
離婚調停中にやってはいけないことに関して、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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離婚調停での発言で不利にならないために気を付けること
離婚調停での発言で不利にならないようにするためには、どのような点に気を付ければいいのか次項で詳しく解説していきましょう。
調停委員から聞かれる事を知っておく
離婚調停で不利な発言をしないためにも、離婚調停で調停委員から何を聞かれるのかを把握しておき、あらかじめ答えを準備しておくことが大切です。
具体的には、離婚調停で主に聞かれることは次のような内容です。
【離婚調停を申し立てた側(申立人)が聞かれること】
- 離婚を決意した理由
- 結婚した経緯
- 親権、財産分与、慰謝料、養育費などの希望条件
- 現在の夫婦関係ついて
- 子供に関すること
- 夫婦関係を修復できる可能性
- 離婚後の生活ついて など
【離婚調停を申し立てられた側(相手方)が聞かれること】
- 離婚についてどう考えているか
- 離婚に同意する場合は親権、財産分与、慰謝料、養育費などの希望条件 など
離婚調停で聞かれることについて、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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感情的にならず冷静に発言する
離婚調停では、相手の言い分を聞いてついカッとしてしまうこともあるかもしれませんが、感情的になって乱暴な言葉を使ってしまうと調停委員に「無礼な人だ」、「粗末な言葉遣いをする人だと子供に悪影響が及ぶ」などと思われて悪い印象を与えてしまい不利になるおそれがあります。
離婚調停では、夫婦双方が合意しないと離婚は成立しません。
感情的な発言をしても、夫婦双方が離婚について合意するとは到底思えず、時間をむだに使うだけです。
建設的な話をしなければ話し合いは進みませんので、冷静に話すように心掛けることが大切です。
必要以上に話さない
離婚調停では、調停委員に聞かれたことについて、自分自身の主張と裏付ける具体的な事実を誠実に話すようにしましょう。
自分の苦労話や、相手の愚痴など必要以上に話をしてしまうと、調停にかかる時間が長くなるだけで、肝心な伝えたい主張がしっかり伝わらなくなります。
調停時に必要以上の話をしてしまう心配がある人は、事前に自分の伝えたいことを陳述書として作成・提出しておけば、調停時に余計なことを話してしまう心配もなくなるので活用することをお勧めします。
離婚調停の際に作成・提出する陳述書について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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主張に正当性があることを伝える
離婚調停では、主張に正当性があることを伝えることも大切です。
離婚調停で調停委員が聞きたいと思っていることは、離婚の原因となる具体的な事実です。
例えば、「とにかく離婚したい。」だけより、「夫の携帯電話のメールをみて、3年以上前から浮気をしていることが発覚をして、夫のことを信用できなくなったので離婚したいです。」と具体的なエピソードを交えながら伝えたほうが調停委員に的確に離婚理由が伝わります。
さらに、浮気の事実がわかる浮気相手との携帯電話のメールのやりとりの写真を提出すれば、さらに説得力が増します。
主張に正当性があることをしっかり証明するには、離婚調停を申し立てる前に証拠集めや事実調査をしっかりやっておくと有用です。
離婚調停を有利に進めるなら弁護士への依頼がおすすめ!
離婚調停を有利に進めたいなら、弁護士へ依頼することをお勧めします。
弁護士であれば、代理人となり離婚調停に一緒に出席できます。
離婚調停に弁護士が同席すれば、調停委員とのやりとりは基本的に弁護士に任せることができるので、調停の場で不利な発言をしなくて済むでしょう。
仮に不利な発言をしてしまっても、その場ですぐにフォローをしてもらえます。
さらに、ご自身の言いたいことをわかりやすく整理して、調停委員が共感してくれるように伝えてもらえます。
また離婚条件について、離婚裁判になった場合の見通しを考えながら調停を進めることができるので、後悔のないように調停に臨めるでしょう。
離婚の話し合いに一切応じてくれなかった相手方との調停を成立させた事例
事案の概要
相手の暴言がひどく、離婚を希望してご自身で話し合いを何度も試みましたが、徹底的に拒否されて何も進まない状況にお困りになってご相談されました。
弁護士方針・弁護士対応
離婚調停を申し立てることにしました。
いざ離婚調停になると、相手は意外にも素直に協議へ応じました。
相手もよくよく話を聞くと、問題解決を行う必要があることは理解していたようで、ただマイホームに住み続けることだけを希望しました。
結果
相手に家賃代わりに毎月4万6000円の住宅ローンの一部負担金を支払ってもらうことで、当分家に住み続けることを認め、無事に離婚が成立しました。
当初は離婚裁判になるかと覚悟していましたが、相手が案外きちんと協議に応じてくれたため早期に解決できました。
よくある質問
- Q:
離婚調停での発言が少ないと不利になることはありますか?
- A:
離婚調停において、発言が少なすぎるとご自身の言い分や要望などが調停委員に正確に伝わらず不利になる可能性はあります。
元々話すことが苦手だったり、何を話せばいいかわからずうまく話せない方、口数が少ない方は、事前に自分の意見や要望をまとめた陳述書を作成して提出しておく方法が有用です。
そのほかにも、調停の場ではその場ですぐに反論や意見を求められるときもありますので、弁護士に依頼して一緒に同席してもらうと、代わりに弁護士が過不足なく調停委員に伝えなければならない事情を伝えてくれます。
- Q:
離婚調停が中々進まない場合、「相手に直接要求したい」旨の発言をしてもいいですか?
- A:
「相手に直接要求したい」旨の発言は不利になる可能性があります。
直接要求したいと思うのは、直接要求したほうが要求が通りやすい、思い通りに相手を支配できると考えるからでしょう。
裁判所としては、直接要求することを許すと相手が物理的・精神的に危害を加えられる可能性があるため看過すことができないと考えています。よって、相手に直接要求しようとすることは、調停委員から危険人物扱いされてしまい、調停で不利になるおそれがありますので控えるべきです。
離婚調停の有利な進め方について弁護士がアドバイスいたします
離婚調停では、思わぬ発言が「不利な発言」となれば、調停委員が相手の味方についてしまい、調停そのものが不利になってしまうおそれがあります。
離婚調停を有利に進めたいとお考えの方は、弁護士にご相談ください。
ご自身の希望する条件で解決を目指すのであれば、調停委員にご自身の主張を正しく理解してもらう必要があります。
弁護士であれば、調停に一緒に同席することができるので、ご依頼者様の主張をわかりやすく整理したうえで、調停委員に共感してもらえるように伝えられます。
また、調停委員が発した言葉の意味を正確に理解できるように、その場で適切に説明をしてくれるので、スムーズに調停が進められます。
離婚調停で不利な発言をして失敗してしまうと、一生後悔することにもなりかねません。
まずは、お気軽に弁護士法人ALGにお問合せください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
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メールでのご相談受付
メールで相談する- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)