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離婚の際に脅された場合の対処法|脅迫を理由とする離婚について

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

ご夫婦の中には、離婚を切り出したら相手から脅されて離婚することができなかったり、離婚は望んでいないのに相手から脅されて一方的に離婚を求められたり、配偶者による「脅し」にお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このような「脅し」はされた側の心を傷つける悪質な行為ですが、なかなか人には言えずおひとりで悩んでしまうこともあるでしょう。

この記事では、離婚に関して配偶者から脅されたらどう対応するべきか、脅迫を理由に離婚できるのかなどを解説していきますので、ぜひご参考ください。

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この記事の目次

離婚で配偶者から脅されたら「脅迫罪」になる?

離婚したいことを伝えたら配偶者から脅され離婚を拒否されるなど、夫婦間の脅迫であっても脅迫罪は成立するのでしょうか?
結論として、夫婦間の脅迫であっても脅迫罪が成立します。

そもそも脅迫罪とはどのようなものなのか見ていきましょう。

●脅迫罪とは?
本人または親族の「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」すること(刑法第222条)

親族も対象となるため、夫婦間の子供、実家の親や兄弟姉妹を害する旨の告知も脅迫罪となり、罪に問われます。
脅迫罪の量刑は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」ですが、初犯の場合は罰金での処罰となることが多いようです。

配偶者から脅されるケースには、以下のようなものがあります。

  • 離婚を切り出したら、「離婚したら嫌がらせをする」と脅される
  • 些細なことですぐに「離婚だ!」と言って脅される など

あなたの配偶者はこのような行動をしていませんか?少しでも気になる場合はすぐに弁護士へご相談ください。

脅迫罪が成立する言動とは?

具体的には、どのような言動が脅迫罪に当たるのでしょうか。

脅迫の手段には、口頭で言うだけではなく、SNS・メール・手紙・態度なども含まれています。
しかしながら、客観的に見て明らかに冗談で言っているような場合には、脅迫罪が成立し得ない可能性もあります。
また「脅迫」の内容は、「本人だけでなく一般的にみても恐怖を感じる程度」であるとされており、被害者が実際に恐怖を感じたのかどうかはについて問われません。

実際に、どのような言動が脅迫罪に当たるのか、以下の表で確認していきましょう。

生命に対する害悪 「殺してやる」「(夫婦間の)子供と一緒に心中する」「親がどうなってもいいのか」など、命の危険を感じる言動が該当します。
身体に対する害悪 「殴るぞ」「子供に怪我をさせる」などといった、傷害などを与える意思のある言動が該当します。
自由に対する害悪 「子供を連れてどこかへ行ってしまうぞ」「閉じ込めてやる」など、行動を制限する旨の告知が該当します。
名誉に対する害悪 「秘密をネットで公開してやる」「知られたくないことを皆に言いふらしてやる」など、秘密を言いふらすことなどでその人の名誉を害する意思の言動が該当します。
財産に対する害悪 「お前が大切にしている物を壊してやる」「家に放火する」「車を壊す」「愛犬・愛猫を殺す」など財産を壊す意思のある言動が該当します。

夫婦間の脅迫でも警察に対応してもらえる?

夫婦間の脅迫の場合、「法は家庭に入らず」という考えがあるため、警察が介入してくれることは少ないでしょう。
夫が妻を、もしくは妻が夫を脅迫したとしても、単なる夫婦喧嘩だと思われて、脅迫罪で逮捕してもらえる可能性が低くなってしまうのです。

では、どのような場合に脅迫罪として逮捕してもらえるのでしょうか。逮捕してもらえるケースを見ていきましょう。

【脅迫罪として逮捕してもらえるケース】

  • バットやナイフを振り回しながら「殺すぞ」と言って暴れた場合(脅迫罪、暴行罪)
  • 「大切にしている物を壊してやる」と言って物を壊された場合(脅迫罪、器物損壊罪)
  • 「殴るぞ」と言って身体を傷つけられた場合(脅迫罪、傷害罪) など

配偶者の脅迫を理由に離婚できるか?

配偶者の脅迫を理由に離婚が認められる可能性があります。そのため、配偶者が話し合いで離婚に合意してくれない場合は、調停や裁判の手続きで離婚を目指しましょう。
裁判で離婚が認められるためには民法第770条に定める5つの「法定離婚事由」のいずれかを満たしていることが条件となります。

【法定離婚事由】
1号:配偶者に不貞行為があったとき
2号:配偶者から悪意の遺棄があったとき
3号:配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
4号:配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき
5号:その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

配偶者から脅迫をされている場合は、「精神的DV」として5号に該当する可能性があります。脅迫に伴って殴る、蹴るなどの暴行を受けている場合も同じです。
ご自身の置かれている状況が「法定離婚事由」に該当するか分からない場合は、弁護士に相談しましょう。

裁判上の離婚原因については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

すぐに「離婚だ!」と言って脅すのはモラハラ?

夫婦喧嘩や些細なことですぐに「離婚だ!」と言って配偶者を脅すのは、れっきとしたモラハラです。
モラハラは、法定離婚事由のなかの「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまり、裁判で離婚が認められる可能性があります。
すぐに「離婚だ!」のフレーズはモラハラ夫(妻)が脅し文句として使うケースが多いようですが、これにはどのような心理が隠されているのでしょうか。

●妻(夫)より有利に立ちたい
モラハラをする人はプライドが高い方が多く、配偶者より有利に立ちたい気持ちを強く持っています。
有利に立てばあなたをコントロールし、優越感に浸れるため、何かあるたびに「おまえとはもう離婚だ」「離婚をされたいのか」と離婚を脅しに使うようです。

●自分に自信がない
離婚を脅しに使う配偶者は、自分に自信がありません。
「自分は愛されているか」「離婚を引き止めてくれるか」など、自分の不安を取り除くためにすぐに「離婚する」と言ってしまいます。

しかし、どんな心理があっても、モラハラをしていい理由にはなりません。配偶者のモラハラで離婚をお考えの場合は、弁護士にご相談ください。

モラハラを理由に離婚したい場合は、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

相手から脅迫により離婚を求められたら?

配偶者から「離婚に応じないと嫌がらせするぞ」「子供に怪我をさせるぞ」などと脅迫により離婚を求められた場合も、モラハラとなります。

モラハラは、法定離婚事由である「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまる可能性がありますが、モラハラの加害者が離婚請求をしても、裁判で離婚は認められません。
有責配偶者からの離婚請求は認められないからです。

「有責配偶者」とは、モラハラや不倫といった法定離婚事由に該当する不法行為を行い、それが原因で婚姻関係を破綻させた配偶者のことをいいます。
有責配偶者からの離婚請求は、“配偶者を傷つけたうえで望まない離婚を求めることは信義に反する行為”と考えられているため、原則として認められていません。

脅迫やモラハラは精神的DVとして有責行為に当てはまります。
相手から脅迫により離婚を求められた場合は、おひとりで悩まず弁護士にご相談ください。

有責配偶者からの離婚請求については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

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離婚に応じない相手から脅迫された場合の4つの対処法

離婚に応じない相手から脅迫された場合には、以下の対処法を検討しましょう。

① まずは別居する
② 保護命令を申し立てる
③ 弁護士に依頼する
④ 調停や裁判で離婚を目指す

次項からそれぞれについて詳しく解説していきます。

①まずは別居する

自分や子供の身を守るためにも、まずは別居をして相手と距離を置きましょう。物理的に相手と距離を置くことで、相手の脅迫から解放されるため、同居していたときは麻痺していた正常な感覚や自尊心を取り戻し、離婚について冷静に判断することができるでしょう。

また、配偶者が別居に反対していても、先に別居することで離婚が認められやすくなる可能性があります。
長期間の別居は「婚姻関係が破綻している」とみなされ、法定離婚事由に当てはまり、裁判で離婚が認められる可能性が高まるからです。

別居中の生活費が心配かと思いますが、別居中はまだ婚姻関係にあることから、「婚姻費用」を相手に請求することができます。これは、法律上夫婦関係が続いているため、「協力扶助義務」が発生しているからです。
しかしながら、脅迫を受けていた相手に婚姻費用の請求をすることは、精神的負担が大きいと思いますので、弁護士に相談しましょう。

離婚前の別居については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

②保護命令を申し立てる

DV防止法に基づく保護命令を申立てることも可能です。保護命令は、「生命・身体に対して害を加える旨の脅迫を受けたことがあり、今後、配偶者からの身体に対する暴力によりその生命身体に危害を受けるおそれが大きい」場合に申し立てることができます。

裁判所を通して保護命令を申し立てると、配偶者はあなたに近づくことができなくなります。
保護命令には、以下の表のような種類があります。

接近禁止命令 6ヶ月間、被害者の住居や勤務先において、付きまといや徘徊を禁止するものです。
退去命令 2ヶ月間、同居をしていた被害者の住居から退去することと、その住居の周辺を徘徊することを禁止するものです。
電話等禁止命令 6ヶ月間、次の8種類の行動を禁止するものです。
① 面会の要求
② 被害者の行動を監視していると思わせるようなことを告げたり、知れるような状態にしたりすること
③ 著しく乱暴または粗野な言動をすること
④ 無言電話をしたり、連続して電話、メール、FAXをしたりすること
⑤ 夜間(午後10時から午前6時)に電話、メール、FAXを送ること
⑥ 汚物、動物の死体など著しく不快感や嫌悪感を抱くものを送りつけたり、知れる状態にしたりすること
⑦ 名誉を害することを告げたり、知れる状態にしたりしておくこと
⑧ 性的羞恥心を害することを告げられたり、性的羞恥心を害する文書や写真を送りつけたり、知れる状態にしておくこと
子への接近禁止命令 6ヶ月間、子供への接近を禁止するものです。具体的には、子供の住居、学校等においてつきまとったり、徘徊したりすることを禁止します。
子供が15歳以上の場合は、子供の同意も必要となります。
親族等への接近禁止命令 6ヶ月間、親族への接近を禁止するものです。親族の住居、勤務先へのつきまとい、徘徊を禁止します。
禁止の対象となる親族の同意が必要になります。

このように、保護命令には、いくつかの組み合わせが考えられます。
その人の状況に応じて、申し立てるべき命令の内容が異なりますので、よくご検討ください。

接近禁止命令については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

③弁護士に依頼する

配偶者から脅されているようなケースでは、直接離婚の話し合いをすることは、恐怖心もあり、難しいでしょう。
そのため、おひとりで悩まず弁護士に相談しましょう。

弁護士に依頼すれば、弁護士があなたの代理人となり、相手方と離婚や離婚条件について交渉していきます。あなたが相手方と直接顔を合わせる必要はなく、あなたの避難先を知られてしまう危険性を回避しながら離婚を実現できる可能性が高まります。

また、相手が交渉に応じないなど、交渉がうまくいかず、調停や裁判の手続きに移行したとしても弁護士が代理人として対応することができます。

モラハラ配偶者と1ヶ月以内に協議離婚できた事例

【事案の概要】

依頼者は、相手方との価値観の不一致やモラハラに耐え兼ね別居を開始した後、当事務所にご相談いただきました。

【担当弁護士の活動】

担当弁護士が丁寧にヒアリングしたところ、法定の離婚原因が無く、相手方も離婚後の金銭的給付が無ければ離婚しないと攻撃的でした。そこで、担当弁護士から相手方に連絡し、金銭的給付をする理由が無いため応じられないと毅然とした対応をし、不当な請求を続けるのであれば離婚調停を申し立てる旨を説明しました。

【解決結果】

その結果、相手方は態度を軟化させ、金銭的給付の要求を取り下げました。その後、依頼から1ヶ月以内に協議離婚が成立し、早期解決することができました。

④調停や裁判で離婚を目指す

夫婦の話し合い(協議離婚)が成立しない場合は、まず家庭裁判所に調停を申し立てます。調停も不成立となった場合は裁判に移行します。

家庭裁判所を利用した手続きでは、原則として、まず調停を申し立てるのがルールで、いきなり裁判を行うことはできません(調停前置主義)。これは、家庭の問題は極力当事者間の話し合いで解決するべきだという考えに基づきます。

調停と裁判の特徴や違いは以下のとおりです。

【離婚調停】
家庭裁判所の調停委員が間に入り、紛争を話し合いで解決しようとする手続きです。中立な立場の調停委員が間に入ることで、冷静に話し合いをすることができ、スムーズに進みやすくなります。
また、調停では、当事者が交互に調停委員に自分の主張を伝えます。待合室も別であるため、相手方と顔を合わせることはありません。

弁護士に依頼することで、緊張して自分の主張をうまく伝えられないところを、弁護士が代理人として調停委員に伝えることができ、調停委員を味方につけることができる可能性が高まります。

【離婚裁判】
調停が不成立となった場合に、裁判を提起します。裁判では、法定離婚事由に当てはまる離婚理由があることを証明できる証拠が必要です。
裁判では、証拠の収集以外にも書類の作成など複雑な手続きが多く、慣れていないと精神的負担が大きくなってしまいます。

弁護士に依頼すれば、証拠の集め方についてアドバイスしてもらえるだけでなく、複雑な手続きを代理し、裁判でも代理人として証拠をもとに主張・立証してもらえます。
慣れない裁判に緊張すると思いますが、弁護士はあなたの心強い味方となってくれるでしょう。

離婚調停、離婚裁判については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

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相手の脅迫により離婚を求められた場合の4つの対処法

配偶者から脅迫により離婚を請求されても、あなたが合意しなければ協議離婚は成立しません。
しかしながら、配偶者はそれでもあきらめず、何度も脅迫により離婚を迫ってくる可能性も考えられます。
そのような場合は心が疲れてしまう前に以下のような対応を取りましょう。

  • ① 離婚届不受理申出を提出する
  • ② 夫婦関係調整調停を申し立てる
  • ③ 弁護士に依頼する
  • ④ なるべく有利な条件で離婚する

次項からそれぞれについて詳しく解説していきます。

①離婚届不受理申出を提出する

「離婚届不受理申出」とは、自分以外の人から離婚届の提出があっても、受け付けないようにしてください、という申出です。この制度を利用すると、たとえ配偶者であっても役所は離婚届を受理しないので、離婚が成立することはありません。

相手が離婚を脅してくるケースでは、脅迫により離婚届を書かされる以外にも、相手が勝手に離婚届に署名し、役所に提出してしまうことも考えられます。
離婚届は夫婦のどちらか一方が提出すれば、形式面に問題がなければ受理されてしまうことから、脅迫により書かされた離婚届であっても、原則として離婚が成立してしまいます。

脅迫により離婚届を書かされた場合は、後から取消請求をすることができますが、「脅迫があった」ことを証明しなければならず、大変な手続きとなるでしょう。
そのため、そのような事態にならないためにも、勝手に離婚されたくない場合は「離婚届不受理申出」を提出しておきましょう。

●離婚届不受理申出の提出の仕方
役所の戸籍化や市民課に行き、用紙を受け取ります。必要事項を記入し提出をすれば、その後は本人の意思を確認できない限り離婚届が受理されなくなります。

離婚届不受理申出については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

②夫婦関係調整調停を申し立てる

脅迫により離婚をせまる相手に対し、こちらが離婚を拒否すると、相手は家を出て行く可能性が高いです。
その場合、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停」を申し立てると良いでしょう。

●夫婦関係調整調停とは?
円満な夫婦関係を回復するために、調停委員を介入させた話し合いのこと

調停は、あくまでも話し合いであるため、家を出て行った相手を無理やり戻らせることはできませんが、条件などが整ったら家に戻ってきてもらえる可能性があります。

また、相手が離婚を脅迫し、一方的に家を出て行くと、生活費が支払われなくなるパターンが多くあります。
このような場合は相手に婚姻費用を請求しましょう。脅してくる相手に直接婚姻費用の請求は難しいと思うので、婚姻費用分担請求調停を起こすと良いでしょう。

夫婦関係調整調停(円満)については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

③弁護士に依頼する

脅迫により離婚をせまり、こちら側が合意しない場合は、相手方が離婚調停を申し立てる可能性が高まります。離婚調停はあくまでも当事者間の話し合いであるため、話し合いが進まなければ、離婚裁判に移行することも考えられます。
裁判では、「離婚原因が存在しないこと」を客観的な証拠をもとに主張する必要があり、裁判の経験や知識がなければ難しいでしょう。

調停や裁判を有利に進めるためには、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は法律の専門家であり、調停や裁判の経験や知識が豊富です。煩雑な手続きの代理から、調停や裁判ではあなたの代わりに主張・立証していくことが可能です。
また、弁護士が付くことで調停委員や裁判官に「本気」であることが伝わるでしょう。

弁護士が介入したことにより離婚を回避できた事例

【事案の概要】

依頼者が、妻が大切にしていた「夫婦共有財産」を損なったことを理由に妻から別居され、離婚請求をされた案件です。妻からの信頼を取り戻したいがどうすればいいかわからないとのことで当事務所にご相談いただきました。

【担当弁護士の活動】

離婚と異なり、離婚回避は法的な整備がなされているわけではなく、離婚を求められている理由を丁寧に分析する必要があります。
担当弁護士は、離婚を切り出された経緯について詳細にヒアリングを行い、依頼者に妻宛ての手紙を書いてもらうことにしました。

【解決結果】

弁護士が内容を十分に吟味し、妻に送ったところ、妻の態度が若干軟化し、面会交流として家族での日帰り旅行に行くことができました。
日帰り旅行後も面会交流の調整をしつつ、交渉を継続した結果、離婚を回避することができました。

④なるべく有利な条件で離婚に応じる

ここまでは離婚しないようどう対処していくかを解説してきましたが、もう一つの方法として、「有利な条件で離婚に応じる」ことが挙げられます。

離婚の際には、慰謝料、財産分与、親権、養育費など決めることも多く、なるべく自分の希望に沿った離婚条件を提示して、相手と交渉することも可能です。
しかし、脅迫するような相手の場合、交渉しても応じてくれない可能性もありますし、脅迫の被害者である当事者が交渉していくことは、精神的負担も大きくなってしまうでしょう。

そのような場合は、離婚問題に強い弁護士に相談しましょう。
弁護士はあなたの代理人となることができるため、あなたの代わりに相手方と交渉していくことが可能です。
また、離婚の際にどのような取り決めをするべきか、相場なども熟知しているためあなたに有利な条件で離婚できる可能性が高まります。

よくある質問

Q:

夫に脅されて離婚届に署名押印してしまいました。離婚を取り消すことはできますか?

A:

民法では、脅迫によって離婚したような場合は、離婚の取消が認められています(民法第747条1項、764条)。
例えば、本当は離婚をしたくなかったのに、脅されて無理やり離婚届を書かされたという場合には、脅迫による離婚として取消ができる場合があります。

離婚の取消は、まず家庭裁判所に請求します。具体的には、家庭裁判所に離婚取消の調停を申し立てます。合意ができなければ調停不成立として裁判に移行します。

その際、脅迫があったことを証明する証拠が必要です。また、離婚を取り消せる期間には時効があるため、脅迫されている状況が終了してから3ヶ月以内に取消の申立てを行う必要があります。

取消により、離婚が無効になると、初めから離婚はなかったことになり、親権や財産分与などの取り決めはすべて無効となります。

Q:

不倫している妻から脅迫的に離婚請求されています。離婚は認められるのでしょうか?

A:

不倫や暴力など、離婚の原因となる不法行為をして、婚姻関係を破綻させた配偶者のことを「有責配偶者」と呼びます。

有責配偶者側が協議離婚で話し合いの場を設けることや、離婚調停を申し立てること自体は可能です。しかし、離婚原因を作った本人が、自分の都合で勝手に離婚を求めた場合、裁判所としては、離婚する方向で話を進めることには消極的な傾向にあります。
そのため、調停の場でも調停委員が相手の味方になり、離婚を強く進めてくれるようなことは考えにくいです。

離婚裁判になった場合には、基本的に有責配偶者側からの離婚請求は認められません。
これは、有責配偶者からの離婚請求は信義に反し、婚姻関係を破綻させたうえに離婚まで認められるのは公平ではないという裁判所の考えに基づいています。

Q:

離婚を脅迫するモラハラ夫との別居を考えています。夫に別居中の生活費を請求できますか?

Q:

すぐ離婚という旦那に疲れ、うつ病になってしまいました。慰謝料を請求できますか?

A:

すぐに「離婚」と脅す行為は精神的DVであり、自分でも気づかないうちにうつ病になってしまうケースもあります。
このようなDVやモラハラの被害を受けた場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。

この場合の慰謝料の相場は数十万~300万円程度となりますが、慰謝料の金額は個別の事情により増減します。また、慰謝料の請求には証拠も必要です。

ご自身のケースがどのくらいの慰謝料になるのか、証拠はどのようなものを集めればよいのか、判断が難しいことも多くあると思いますので、まずは弁護士にご相談ください。

Q:

日常的な脅しを理由に離婚慰謝料を請求できますか?

A:

日常的に脅しを受けることによる精神的苦痛は大きいと思います。そのような精神的苦痛に対する損害賠償として慰謝料を請求できる可能性があります。
しかし、慰謝料の請求には、「日常的に脅しを受けている」という証拠が必要です。脅しの音声データや脅しを受けた日記などを継続して記しておくと良いでしょう。
また、有効な証拠や、どのくらいの慰謝料が受け取れるのかなど不安なことは弁護士に相談することをおすすめします。

離婚の話を安全に進めていくためにも、まずは弁護士にご相談下さい。

配偶者から脅迫や日常的な脅しを受けている状況では、正常な判断ができず離婚について冷静に考えることは難しいでしょう。
また、配偶者の脅しが暴力に発展してご自身や子供の身体に危険が及ぶ可能性もあります。

配偶者から脅迫を受けている場合は、ご自身や子供の身を守るためにも、離婚の話を安全に進めるためにも、なるべく早く私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
私たちは離婚問題や夫婦問題に詳しい弁護士が多数在籍しております。
離婚の話を安全に進めるためにも、ご相談者様の代理人となって相手方と交渉をしていきます。また、離婚条件についても相場を熟知していますので、財産分与や慰謝料、親権などご相談者様の利益優先に進めていきます。

脅迫や脅しは本来あってはならないことです。少しでも脅迫されていると感じる場合は身の安全を確保するためにも、私たちにご相談ください。

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