ギャンブルへの依存を理由に離婚する方法|借金がある場合の注意点
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
配偶者がパチンコや競馬などのギャンブル依存症で、家族の生活費にまで影響が出ていれば、離婚を考えるのも当然です。
・そもそも相手のギャンブル依存が理由で離婚できるのか?
・仮に離婚するとなった場合、配偶者が婚姻期間中にギャンブルで作った借金は自分自身も返済しなければいけないのか?
・配偶者に借金があれば、慰謝料や養育費などはもらえないのか?
など、疑問点も出てくるかと思います。
本記事では、配偶者のギャンブルへの依存を理由に離婚する方法を様々な角度から解説していきます。
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ギャンブルへの依存を理由に離婚をする方法
相手のギャンブルへの依存を理由に離婚する方法は次のとおりです。
- 話し合いで合意できれば離婚できる
- 合意できない場合は離婚裁判をする
それぞれ次項で詳しく解説していきます。
話し合いで合意できれば離婚できる
「協議離婚」や「離婚調停」といった話し合いで離婚する方法では、合意できれば離婚できます。
協議離婚は、夫婦の話し合いによって、離婚理由を問わず、離婚するタイミング、条件などを自由に決めて離婚する方法です。したがってギャンブル依存が離婚理由でも合意できれば離婚できます。
当事者間の話し合いでは離婚に関して折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てして、裁判官や調停委員を交えて話し合いで離婚の成立を目指す手続きに進みます。
離婚調停も話し合いですが、調停室に交互に呼ばれて、裁判官や調停委員がそれぞれの主張や意見を聞いて助言をしたり調整したりしてくれるので、相手と顔を合わせることもありませんし、第三者が介入してくれるので、話し合いがスムーズに進む可能性が高まります。
なお、例外的に「審判離婚」もあります。審判離婚は、だいたい離婚条件で合意できているけども、僅かな条件の相違で離婚調停が不成立となったものの、裁判所の職権で、離婚を成立させるのが相当だと判断されると調停に代わる審判がなされて離婚する方法です。
離婚の方法については、下記ページでも詳しく記載していますので、ぜひご覧ください。
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合意できない場合は離婚裁判をする
離婚調停で離婚について合意できなかった場合は、調停不成立となり、次に離婚裁判に進みます。
離婚裁判は、相手の合意がなくても、民法で定められている法定離婚事由にあてはまれば、離婚ができます。
法定離婚事由とは、法律で離婚が認められている次の5つの離婚理由をいいます。
- ① 不貞な行為があったとき
- ② 悪意で遺棄されたとき
- ③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- ④ 配偶者が回復の見込みがない強度の精神病にかかったとき
- ⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
見てのとおり、ギャンブル依存症だけでは、法定離婚事由にあたりません。
しかし、給与のほとんどをギャンブルに使って生活費を渡してくれないケースやギャンブルにのめり込んで家に帰って来ないケースでは、悪意をもって故意に夫婦の扶助義務を放棄することを意味する➁の「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。
また、ギャンブル依存がきっかけで長期間別居しているケースや、ギャンブルが原因で罪を犯して捕まったケースなどでは⑤の「婚姻を継続し難い重大な事由」にあてはまり、離婚が認められる可能性があります。
ギャンブル依存症による離婚と慰謝料の請求
ギャンブル依存症が、法定離婚事由である“悪意の遺棄”や“婚姻を継続し難い重大な事由”にあてはまる場合には、離婚時に慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料請求できるのは、配偶者の行為が不法行為にあてはまる場合です。
不法行為とは、故意や過失で配偶者の権利や利害を侵害し、損害を与える行為をいいます。
不法行為の具体例でいうと、不貞行為(浮気・不倫)やDV・モラハラ、過大な借金などです。
ギャンブル依存によって過大な借金を背負う羽目になったり、お金を渡せと暴れてDVを受けたりした場合は、不法行為とみなされて慰謝料請求できることがあります。
慰謝料の相場は、婚姻期間の長さ、子供の有無、精神的苦痛を受けた度合いなど、個別の事情によって異なります。ただし、夫婦間での話し合いで合意できれば、相場に関係なく、自由に慰謝料の金額を決めて問題ありません。
離婚慰謝料の相場については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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ギャンブル依存症による離婚の際の養育費
相手のギャンブル依存症が理由で離婚した場合でも、子供と一緒に暮らす親(監護親)は、子供と離れて暮らす親(非監護親)に養育費を請求できます。
養育費は、子供が経済的・社会的に自立するまでに、監護や教育のために必要となる大事な費用です。
監護親がギャンブル依存症を理由に借金を抱えていたり、自己破産していたりしても、親として子供を養育する義務があることは変わりがないため、養育費の請求は可能です。
養育費の金額は、父母間で自由に決めて問題ありません。
調停や裁判など裁判所の手続きで養育費を取り決めるときは、父母それぞれの収入や子供の人数、年齢によって相場がわかる「養育費算定表」を基準にして算定します。
養育費の相場については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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離婚の際に借金がある場合の注意点
離婚する際に相手に借金がある場合は、注意すべき点があります。
事前に対応策を考えておかなければ、離婚後も相手の借金でご自身や子供が苦しめられる可能性があります。次項で主に考えられる注意点3つを詳しく解説していきます。
自分に借金の返済義務がないか確認する
まず、自分に借金の返済義務があるかどうかを確認しておくようにしましょう。
婚姻期間中に作った借金でも、相手がギャンブルのために作った借金は、配偶者であるご自身に返済義務はありません。
一方で、マイホームや自動車などの購入費用や家族の生活費のための借り入れなど、婚姻期間中に夫婦が共同生活をするうえで必要で生じた債務は「日常家事債務」として、相手名義の借金でも、配偶者であるご自身にも返済義務があります。
また借金の理由を問わずに、相手の連帯保証人になっている場合は、責任を逃れることはできません。相手が支払いを延滞すると、たとえ相手がギャンブルのために借り入れたお金でも、離婚後もご自身に請求がきますので注意が必要です。
なお、借金の返済義務は財産分与にも関わってきます。
借金がある場合の財産分与について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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慰謝料や養育費の不払いへの対策をしておく
ギャンブル依存症の相手と離婚する場合、相手に借金があっても、慰謝料や養育費を請求できます。
しかし、慰謝料や養育費を請求して取り決めていたとしても、ギャンブルばかりにお金を費やしたせいで、分割払いで合意していた慰謝料が急に支払われなくなったり、毎月の養育費の支払いが滞ったりする可能性が高いため、予め対策を講じておく必要があります。
当事者間での話し合いで離婚に合意して離婚条件を決めた場合は、公証役場で強制執行認諾文言付の公正証書を作成しておくようにしましょう。
万が一、慰謝料や養育費が突如支払われなくなっても、公正証書があれば、強制執行の手続きを行って、相手の給与や預貯金などを差し押さえて回収することができます。
なお、調停や審判、裁判など裁判所の手続きで離婚条件を取り決めた場合は、裁判所が作成した調停調書や審判書、判決書などで強制執行の手続きは可能となります。
子供が借金を相続する可能性がある
離婚をすると夫婦の相続関係はなくなりますが、子供は親が離婚をしても、親子関係が継続しているので相続人のままです。
離婚後に親が亡くなった場合は、生前に親が遺した現金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含めて、子供に相続が生じます。
相続した借金の返済を子供に背負わせないようにするには、「相続放棄」や「限定相続」などの方法があります。
ただし、期限があるのでできるだけ早く弁護士に相談して手続きするのをお勧めします。
離婚すべきか迷った場合の判断ポイント
離婚すべきか迷った場合の判断ポイントとして、主に次のようなものが挙げられます。
- ギャンブルを辞めると約束しても、何度もギャンブルを繰り返していないか
- ギャンブル依存症のせいで、生活費も確保できない状態になっていないか
- ストレスから精神的にも肉体的にも不調になっていないか
- 子供への悪影響はないか
- ギャンブル依存症の治療を勧めても拒んでいないか
- 離婚後の収入や住む場所など生活基盤を確保できているか
- 愛情はまだあるか など
上記に挙げたポイントを冷静に考えて、ギャンブル依存症の相手との関係に改善の余地が期待できないと判断できるときは、ご自身と子供のために離婚に踏み切るのもひとつです。
ギャンブル依存症は治療も可能
ギャンブル依存症は、精神科医や看護師、カウンセラーなど専門家による心理療法、薬物療法、作業療法など、患者の必要度に応じて治療することができます。
症状により、通院のみでの治療や入院して治療するなど様々です。
治療期間も、個別によって異なり、回復安定期に入るまでに半年で済む人もいれば3年以上かかる人もいます。
治療費については、2020年4月からギャンブル依存症の治療が保険適用となりましたので治療を受けやすくなっています。
ギャンブル依存症による離婚を弁護士に相談するメリット
弁護士が代理人となって相手と直接交渉してもらえる
離婚する場合は、金銭に関する問題で揉めがちです。弁護士に依頼すれば、離婚や離婚条件の優先順位を整理したり、養育費について借金があっても支払う義務があることを法的観点から説得したり、有利に離婚条件を取り決められる可能性が高まります。
公正証書の作成のサポートをしてもらえる
ギャンブル依存症の相手と離婚する際は、取り決めた養育費や慰謝料などが不払いにならないように、しっかり公正証書を作成しておく必要があります。弁護士に依頼すれば公正証書作成のサポートもしてもらえます。
調停や裁判など裁判所の手続きも一任できる
調停、裁判などの法的手続きに至っても、裁判所に提出する書面作成、書面の提出、裁判所とのやりとり、裁判所への出廷などすべての手続きを弁護士が行いますので、時間や労力を軽減できます。
ギャンブルを理由にした離婚を有利にすすめたいなら、弁護士にご相談ください
ギャンブルに依存している配偶者と離婚を考えている方は、まずは弁護士にご相談ください。
ギャンブルに依存している方は、借金をしている方が多く見受けられます。
そのような場合、配偶者の借金問題に巻き込まれないように注意が必要です。
弁護士に依頼すれば、状況を整理してどのような注意が必要かアドバイスしてもらうことができます。
また、ギャンブルに依存している人は、取り決めた慰謝料や養育費の支払いを滞らせる可能性が高いので、不払いに備えた対策も必要です。
ギャンブルに依存している方との離婚は一筋縄ではいかないケースが多いので、一人で抱え込まずに、お気軽に弁護士法人ALGにお問合せください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
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- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)