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面会交流の「間接強制」とは?認められるための要件を解説

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

離婚する際に相手が親権をもち、面会交流を取り決めたにもかかわらず、離婚後、子供と一切会わせてもらえないケースは少なくありません。

相手に面会交流を拒否されている場合に、子供と離れて暮らす親(非監護親)は「間接強制」という手続きを利用して面会交流を実現できるように働きかける方法があります。
ただし、間接強制が認められるには、要件があります。

そこで、本記事では、“間接強制が認められるための要件”や“間接強制の手続き方法と流れ”、“間接強制を行う際の注意点”など「間接強制」について詳しく解説していきます。

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面会交流の間接強制とは

面会交流の間接強制とは、面会交流を取り決めたにもかかわらず、面会交流に応じない子供と一緒に暮らす親(監護親)に対して、「面会交流に応じない場合は1回あたり●万円支払え」と命じて制裁金(間接強制金)を課すことによって、監護親に「お金を支払いたくない」という心理的圧迫を与えて、自発的に面会交流を促す制度です。

相手が面会交流に応じてくれない場合に面会交流を実現させる手段として、「履行勧告」、「間接強制」、「慰謝料請求」などがあります。
「間接強制」は、裁判所が、監護親に対して約束したとおりに面会交流を実施するように勧告する手続きである「履行勧告」をしても面会交流に応じないときの次の手段といえます。

面会交流を拒否されたときの対処法について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

面会交流では直接的な強制執行ができない

一般的に強制執行の方法として、「間接強制」のほかに、裁判所の執行官が直接的に権利を実現する「直接強制」という手段があります。
面会交流において、裁判所の執行官が実力行使で無理やり子供を連れ出して、子供と離れて暮らす親(非監護親)と面会交流させるような「直接強制」は日本では認められていません。

そもそも面会交流は、子供の福祉のために行われるものです。
直接強制で面会交流を実施するとなれば、子供が面会交流に対する拒否感を覚えて、父母それぞれに対しても不信感を抱くおそれがあり、子供の福祉に適わず、期待しているような面会交流が実現できないのが明らかだからです。
よって、面会交流では直接的な強制執行はできません。

間接強制が認められるための2つの要件

間接強制を申し立てたら、必ずしも認められて実施されるわけではありません。
間接強制が認められるには次の2つの要件があります。

  • ① 調停や審判で取り決めているか
  • ② 面会交流の内容が特定されているか

次項で、それぞれ詳しく解説していきましょう。

①調停や審判で取り決めているか

間接強制を申し立てるためには、面会交流の取り決めを家庭裁判所の調停や審判など裁判所の手続きで決定しており、裁判所が作成した調停調書や審判書などの「債務名義」があることが必要です。

裁判所を通さずに当事者間での話し合いで合意していて公正証書を作成している場合は、間接強制は求められません。
当事者間での話し合いで面会交流について取り決めていて、面会交流に応じず間接強制を申し立てたい場合は、まずは面会交流調停を行って債務名義を取得する必要があります。

面会交流調停や面会交流審判については、それぞれ下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

②面会交流の内容が具体的に特定されているか

裁判所が間接強制の決定を出すためには、面会交流の内容が具体的に決められている必要があります。
具体的には次の点が特定されているかどうかが重視されます。

  • 面会交流の頻度
  • 面会交流の日時
  • 面会交流の時間や長さ
  • 子供との待ち合わせ方法(待ち合わせ場所、面会交流の場所、子供の送迎の有無など)

例えば、次のような内容で取り決めておくと間接強制が認められる可能性は高いです。
『1ヶ月に2回、第1・3日曜日の10時から16時までの6時間、面会交流の場所は長女の福祉を考慮して元夫の自宅以外の元夫が定めた場所とし、JR甲駅の改札付近で長女を引き渡す』というような内容です。

一方で、次のような曖昧な内容で取り決めておくと、間接強制が認められません。
『1ヶ月に2回、休日に1回につき6時間程度、面会交流を実施する』というような内容です。

理由としては、面会交流の曜日や面会交流の場所、待ち合わせ場所などが抽象的で特定されていないからです。
取り決める際は、面会交流を拒否された場合に備えて、監護親が履行すべき義務の内容を明確に取り決めておくことが大切です。

面会交流のルールについて、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

間接強制が認められた判例

甲府家庭裁判所 令和4年4月1日決定

事案の概要

長女と次女がいる夫婦の間で争われた面会交流審判に対する抗告事件で決定した「面会交流実施要領」の記載のとおりに面会交流が実施されないとして、非監護親が間接強制を申し立てました。

裁判所の判断

面会交流の日時、面会交流時間の長さ、子供たちの引渡し方法などが具体的に定められており、監護親がすべき給付の特定に欠けるところはないことから、監護親に対して間接強制決定をすることが可能と判断しました。
よって、執行力のある決定書記載のとおり、子供らと月2回の面会交流をさせなければならないとしました。

また、面会交流の頻度は月2回であること、監護親の年収は800万円程度であることなど一切の事情を考慮して、面会交流の不履行に際して監護親が支払うべき金額は不履行1回につき3万円と定めるのが相当だとしました。

間接強制が認められなかった判例

大阪高等裁判所 令和3年8月2日決定

事案の概要

長女と長男がいる夫婦の間において面会交流調停で成立した調停条項どおりに面会交流させるように求めるとともに、不履行1回につき10万円の支払いを求めて子供と離れて暮らす非監護親が間接強制を申し立てました。

裁判所の判断

監護親の職場で新型コロナウィルスの感染者が出たことや、非監護親が新型コロナウィルスに罹患して入院したことなどを理由に当事者の了解に基づき、直接的面会交流の代替としてビデオ通話の方法により非監護親と長男の交流が実施されており、面会交流が実際されなかったのは1回のみでした。

他方で監護親は、非監護親が子供らと直接会ってクリスマスプレゼントや誕生日プレゼントを手渡しして交流する機会を設けたほか、長女の小学校卒業のときは長女や非監護親やその両親に挨拶に出向き、非監護親と長女の交流の機会を設けたこともありました。

これらの事情を総合考慮すると、面会交流が1回実施されなかったことのみをもって面会交流させる義務の不履行があったと評価するのは、極めて酷であるから権利の濫用として許されないというべきだとして、間接強制の申立てを却下しました。

子供が面会を嫌がっている場合でも間接強制できるのか?

基本的に、面会交流の内容が具体的に取り決められていれば、子供が嫌がっているという理由で間接強制を免れることはできません。

むしろ、一度取り決められた面会交流の内容は、監護親が子供に対して、適切な指導・助言をすることによって面会交流が図れるよう努力すべきであると考えられています。
現在取り決めている面会交流の内容が実施できないのであれば、面会交流の在り方自体について、再度面会交流調停で話し合うべきであるとされています。

ただし、子供がある程度の年齢(15歳以上)に達しており、判断能力が十分にあると認められた際に、子供が明確に面会交流を嫌だと意思を示した場合は、間接強制が認められないケースもあり得ます。

子供の面会交流の拒絶と間接強制に関する判例

大阪家庭裁判所 平成28年2月1日決定

事案の概要

長男がいる夫婦の間に面会交流の審判が確定したことにより、非監護親と子供との面会交流が実施されることになりました。
審判で定められた待ち合わせ場所に行くために子供を連れて自宅を出ようとしましたが、非監護親と会うことを教えられた子供が自宅を出るのを嫌がったために、子供を待ち合わせ場所まで連れていくことができませんでした。
非監護親は面会交流が実現しなかったことから間接強制を申し立てました。

裁判所の判断

裁判所は、面会交流の日時、面会交流時間の長さ、子供の引渡し方法などを具体的に定めており、監護親である債務者がすべき給付の特定に欠けるところはないことから、監護親に対して間接強制を決定することが可能だと判断しました。

また約2年前に実施した試行的面会交流で、子供は楽しそうに問題なく非監護親と面会交流ができており、約1年前に家庭裁判所調査官が子供と面接したうえで、早期に面会交流を実施することが望ましいとする調査報告書を提出していることからすると、子供を監護する親として、現在7歳である子供に適切な指導や助言をすることによって、子供の福祉に害することなく面会交流を履行することが可能であるとしました。

したがって、審判書どおりに毎月2回面会交流させなければならないとし、面会交流を履行しないときは、監護親は非監護親に対して、不履行1回につき4万円を支払うように決定を下しました。

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間接強制の手続き方法と流れ

間接強制は次のような手続きや流れで行っていきます。

① 家庭裁判所に申し立て
調停や審判をした裁判所に必要書類を提出して間接強制の申立てをします。

② 審尋を実施
申立書が受理されたら、監護親に対して審尋という意見を聞く手続きを行います。
裁判所によっては、監護親の意見などを書面の提出により確認する手続きである書面審尋を行っている場合もあります。

③ 家庭裁判所の決定
裁判所が間接強制の申立てを容認する決定を出す場合は、「面会交流をさせなかった場合は1回あたり●万円支払え」という内容の制裁金を課す命令を言い渡します。

申し立てに必要な書類・費用

間接強制を申し立てるにあたって、必要な書類や費用は次表のとおりです。

必要書類 費用
・申立書
・執行力のある債務名義の正本(調停調書、審判書、判決書)
・債務名義の正本送達証明書
※事案によっては、このほかの資料の提出が必要な場合があります。
・収入印紙:2000円
・連絡用の郵便切手:裁判所ごとに異なる

間接強制の申立書の書式や書式の記入例は、下記の裁判所のホームページで確認できますので、ぜひご参考ください。

 

面会交流で間接強制を行う際の注意点

間接強制は、子供との面会交流を実現する直接的な効力はありません。
そのため、間接強制を行って制裁金を課せられても監護親が面会交流に応じなければ、子供の面会交流は実現しません。

面会交流を実現するためには、戦略を立てて、間接強制と相手との交渉を取り混ぜて行うのがいいでしょう。
もっとも、当事者間で交渉をすると感情的になって有益な話し合いができないことが多いので、弁護士を立てて交渉を行う方法が効果的です。

面会交流について弁護士に依頼するメリット

面会交流について取り決める際は、弁護士に依頼して進めることをお勧めします。
弁護士に依頼すれば、次のようなメリットがあると考えられます。

  • 父母双方が納得できる面会交流を実現できる可能性が高まる
    ご自身はもちろんですが、相手も納得できる内容でなければ、取り決めた面会交流の約束が守られない可能性が高くなります。弁護士であれば、父母双方が納得できるような着地点を目指して合意できるように尽力します。
  • 将来的に間接強制をする可能性を踏まえて適正な面会交流の取り決めができる
    合意した面会交流の内容が曖昧だと、いざというときに間接強制が認められない可能性があります。
    弁護士であれば、将来の間接強制を意識した内容で取り決めておくことができます。
  • 裁判所の手続きをすべて任せられる
    裁判所の手続きを行う場合は、書面の作成・提出、裁判所とのやりとりなど様々な煩雑な手続きがあります。
    弁護士に依頼すれば、手続きをすべて任せられ、手間や労力などが大幅に軽減されます。
    間接強制を申し立てる際も、複雑な手続き一切を任せられます。

弁護士が対応した結果、休止された面会交流を再開できた事例

事案の概要

依頼者である元夫は、7年ほど前に離婚して、子供の面会交流を継続してきました。
ところが、相手方である元妻が、交際相手との結婚を想定するようになったのがきっかけだと思われますが、2ヶ月程面会交流をしないでほしいと申し出てきました。ちょうどコロナ禍というタイミングもあったので、依頼者は仕方なく同意しました。
しかし、2ヶ月を経過しても面会交流を復活する様子がなかったため、ご相談に来られました。

弁護士方針・弁護士対応

担当弁護士は、面会交流調停を申し立てました。
子供が小学校中学年でそれなりに意思がはっきりしている年齢になっているので、子供の意向を調査するために家庭裁判所調査官の調査を実施してもらいました。

結果

調査官調査の結果、子供は依頼者である父親のことを慕っていることがわかりました。
他方で、年齢相応の「お友達とも遊びたい」という気持ちも示しました。
調査結果を踏まえて、子供の気持ちを配慮して月1回面会交流することになりました。

今回、当事者双方が子供の気持ちを知る機会となり、納得して今後の安定した面会交流をすることができるようになり、有意義な手続きとなりました。

間接強制に関するQ&A

Q:

間接強制で課すことのできる制裁金の金額はいくらぐらいですか?

A:

一般的な制裁金の相場は、不履行1回あたり10万円以下とされています。

制裁金の金額は監護親にプレッシャーとなるような金額に設定するので、監護親の経済状況が大きく影響します。
ただし、最近では、不履行1回につき30万円や100万円といった高額な金額を命じた裁判例も出ています。

制裁金が高額になる背景は、監護親の資力(年収)に関係があるほか、そもそも月に1回や2ヶ月1回程度の面会交流において、不履行の制裁金が数万円だと、あえて制裁金を支払って履行しないという監護親がいるためです。

Q:

間接強制を行っても無視された場合、面会交流を実現させるその他の方法はありますか?

Q:

新型コロナの感染リスクを理由に面会交流を拒否されています。間接強制は認められないでしょうか?

A:

新型コロナの感染リスクを理由に面会交流を拒否されていて間接強制を申し立てた場合に、新型コロナの感染リスクを理由に間接強制が認められないというおそれは低いと考えられます。

2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症になりました。
5類に移行後は、外出の自粛要請や就業制限など、日常における基本的感染対策を求めることはなくなりました。
また「濃厚接触者」として特定されることもなく、外出自粛も求められていません。

よって、裁判所としても、子供に持病がある、緊急事態宣言が発令されるなどの特別な事情がない限り、「新型コロナに感染するかもしれないから」という理由だけでは、面会交流を拒否する正当な理由にはならないと判断するでしょう。

離婚問題や面会交流に詳しい弁護士が、親身になってあなたをサポートいたします

面会交流を取り決める際は、約束した面会交流が守られなかったときに備えて間接強制を意識した面会交流の内容を具体的に決めておくことが得策です。

しかし、面会交流を取り決めるにあたって、父母双方において感情的な対立が激しくなるケースも少なくありません。
よって、面会交流の取り決め段階から弁護士に相談して進めることをお勧めします。

弁護士であれば、代わりに相手と面会交流について交渉できますし、調停や審判などの裁判所の手続きも一任できます。
また、面会交流が実現しなかったときに、間接強制の手続きはもちろんですが、直接相手に約束どおりに面会交流を実施するよう働きかけることもできます。

弁護士法人ALGでは、面会交流をはじめとする離婚問題を多数解決してきた経験と実績があります。
まずは、面会交流について一人で抱え込まずに、弁護士法人ALGへお気軽にご相談ください。

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監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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