へそくりは財産分与の対象になるのか
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
財産分与は、離婚時に、婚姻期間中に夫婦で築いた財産(共有財産)をそれぞれの貢献度に応じて清算することですが、へそくりは財産分与の対象、つまり共有財産といえるのでしょうか?
本記事では、へそくりが財産分与の対象となるのか等、財産分与におけるへそくりの取り扱いについて詳しく解説します。
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へそくりは財産分与の対象になる?
へそくりが共有財産であるといえる場合には財産分与の対象となります。
共有財産
具体的にどのようなときにへそくりが共有財産であるといえるのかというと、へそくりの元ととなったお金の出所が共有財産である場合です。例えば、夫の収入の一部を生活費としていた場合に、倹約して捻出した生活費の余りをへそくりとして貯めたようなときには、へそくりは共有財産であるといえ、財産分与の対象となります。なお、自身の収入の一部を生活費としていた場合でも、同様に財産分与の対象となることには注意が必要です。
特有財産
例えば、婚姻前から所有していた美術品を売ってへそくりとして貯めた場合のように、元手が特有財産であるへそくりは、共有財産ではなく特有財産です。特有財産は財産分与の対象とはならないので、こうした場合、へそくりは財産分与の対象とはなりません。
へそくりを隠してありそうな場所
現金で隠している
へそくりの保管方法の1つとして、現金を見つからない場所に隠すことが考えられます。
例えば、自宅の普段なかなか触らないような場所に隠してあったり、自身の実家に隠してあったりすることがあります。
銀行口座を別に作っている
独身時代から使っている口座に預けてある
現金ではなく、預貯金としてへそくりを隠すことも考えられます。
相手方配偶者が独身時代から使っていたものの、今はメインでは使っていない口座や旧姓の口座があれば、そこに隠しているかもしれません。
ネット銀行の口座に預けてある
独身時代から使っている口座ではなく、こっそり開設した口座に隠していることもあります。口座を開設しているかどうかわからない場合、実店舗がないために存在に気づきにくいネット銀行の口座に隠している可能性があります。
家にネット銀行からの書類が届いていないか、確認されると良いでしょう。
電子マネーとしてチャージされている
現金でも預貯金でもなく、電子マネーとしてチャージされている可能性もあります。他人からは残高がわかりにくく、また、へそくりを電子マネーにするという発想が新しいため、電子マネーとして隠されていると気づきにくいです。一度探されてみると良いでしょう。
へそくりを隠していそうな場所がわかったら証拠を掴むためにも弁護士に依頼しましょう
へそくりを見つけるのはなかなか難しいです。現金や通帳そのものを見つけることができれば良いですが、銀行からの書類等だけでは、推測することしかできません。
へそくりの隠されている口座について、銀行名と支店名がわかる場合には、弁護士会照会によって、金融機関に問い合わせてもらうことができます。また、銀行名等の検討がつかない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てたり訴訟を提起したりすることで、財産を開示させることができるケースがあります。
相手方配偶者がへそくりを隠している可能性がある場合には、下手に動く前に、まず弁護士にご相談ください。
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メールで相談する財産分与のときにへそくりを隠しておくことのリスク
へそくりを隠し続けることには、リスクがあります。
例えば、離婚後2年以内に存在が発覚した場合には、へそくりについて財産分与がなされることになります。また、2年を超えた後は、裁判所へ申し立てて財産分与を請求することができなくなりますが、財産を隠すという不法行為に対する損害賠償請求を提起することができる可能性があります。
財産分与後にへそくりが見つかれば後からでも折半になる
たとえ隠されていても、へそくりは財産分与の対象です。財産分与時に発覚せず、へそくりについて財産分与がなされなかったとしても、後に見つかれば、適正な財産分与がなされなかったとして、再度財産分与を行うことを請求することができます。
損害賠償として請求される場合もある
へそくりは、夫婦共有の財産を勝手に引き抜いたり、相手方配偶者を騙したりして自身の貯蓄に回す行為であるため、窃盗罪や詐欺罪が成立するのではないかと思われるかもしれません。しかし、親族間で発生した一部の犯罪行為については刑罰が免除されます(親族相盗例)。
もっとも、刑罰が免除されるとはいっても、へそくりは不法行為には違いないため、民事上の損害賠償請求をすることができます。なお、損害賠償請求では、財産分与に比べて支払額が高額になる可能性があります。
へそくりを見つけたら弁護士に相談しましょう
相手が任意に財産分与に応じない場合は、裁判所へ財産分与の調停(もしくは審判)を申し立てることになりますが、先に述べたとおり、裁判所に対する財産分与の申立ては、離婚から2年以内に行わないといけません。また、財産分与を行った後であっても、へそくりの存在が発覚した場合には、再度裁判所に対して財産分与の申立てをすることができますが、これも離婚から2年以内に限られます。
このように、裁判所に対する財産分与の申立てができる期間は決まっているので、へそくりを見つけたらすぐに弁護士に相談しましょう。裁判所に対する財産分与の申立ては離婚から2年以内であれば行うことができるとはいっても、時間が経つにつれて、元配偶者が応じてくれる可能性は低くなっていきますし、財産分与の対象となる財産も散逸してしまいます。
なるべく早い段階で財産分与を請求することが大切なので、弁護士への相談も早めにすることをお勧めします。
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メールで相談するへそくりの財産分与に関するQ&A
- Q:
婚姻期間中に相手がへそくりをしていて、それを離婚前にすべて使い切ってしまっていた場合の財産分与はどうなりますか?
- A:
財産分与を請求するためには「へそくりがいくらあったか」がわからなければなりません。
例えば、預貯金や電子マネーとしてへそくりを隠していた場合には、通帳や利用明細等でへそくりが確かにあったこととその金額を確かめることができるため、財産分与を請求することができます。しかし、タンス貯金等、現金で隠していた場合には、本当にへそくりがあったのか、その金額はいくらなのかを確かめることができないため、財産分与を請求することは難しいでしょう。
- Q:
離婚時の財産分与でへそくりを申告しないでおくことはできますか?
- A:
財産分与では、夫婦が保有する財産を互いに公開し合います。当然へそくりもその対象ですが、相手方配偶者にばれないように保管しているため、申告せずにいても気づかれません。しかし、へそくりのお金の出所が共有財産であった場合には、夫婦の共有財産として財産分与の対象になるため、申告する義務があります。
また、たとえ離婚時の財産分与ではへそくりの存在が発覚しなかったとしても、後に見つかった場合に、財産分与のやり直しや不法行為に対する損害賠償を請求されてしまうおそれがあります。こうした事態を防ぐためにも、離婚時の財産分与の段階で、へそくりについて申告しておくべきでしょう。
- Q:
財産分与をするときにマイナンバー制度でタンス貯金等がわかることはありますか?
- A:
マイナンバー制度では、預貯金口座とマイナンバーを紐づけることで、国や地方自治体が個人資産を把握できるようにしようとしています。したがって、マイナンバー制度によって、預貯金として隠しているへそくりの存在がわかるようになります。しかし、タンス貯金については、マイナンバー制度と紐づけられるものではないので、マイナンバー制度によって、タンス貯金として隠しているへそくりの存在がわかるようになることはありません。
婚姻期間中に貯めたへそくりは財産分与の対象になるので弁護士に確認してみましょう
婚姻期間中に貯めたへそくりは、元となるお金の出所が夫婦の共有財産であることが多いので、基本的に財産分与の対象となります。ご自身の配偶者がへそくりを隠していることが疑われる場合、やはりきちんと財産分与したいと思われるでしょうが、へそくりを隠している側からすると、自身が貯めたへそくりの財産は分与したくないと思うものです。互いの財産を開示し合っても、へそくりに関しては隠されてしまう可能性が高いでしょう。
離婚する際に取り決めなければならないことはたくさんありますから、財産分与の話し合いにだけ時間を割くわけにはいきません。スムーズに離婚の手続を進めるためにも、弁護士に相談し、離婚の手続について一括して依頼することをお勧めします。
弁護士は、ご依頼者様の一番の味方となる存在です。
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- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)