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養育費の相場は?子供の人数や年収、考慮される要素などを解説

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

離婚時、養育費の金額でもめる夫婦は少なくありません。養育費は子供の成長に欠かせないお金なので、妥協せず適正額をしっかり請求することが重要です。
この点、養育費の相場を踏まえて話し合いを進めると、スムーズに合意できる可能性があります。また、相場は比較的簡単に確認できるため、あらかじめ把握しておくと良いでしょう。

本記事では、養育費の具体的な相場や計算方法、相場から増額・減額できるケースなどを詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

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養育費とは

養育費とは、子供が経済的に自立するまでに必要な費用のことです。主に以下のようなものが養育費に含まれます。

  • 衣食住の費用
  • 学費
  • 教材費
  • 医療費
  • お小遣い
  • 適度な娯楽費

離婚後、子供と離れて暮らす親は、子供と一緒に暮らすもう一方の親に養育費を支払う義務があります。離婚しても親子であることに変わりはなく、扶養する法的義務を負うからです。

また、養育費はトータルで2000万~4000万円かかるといわれています。非常に高額なため、離婚時はしっかり養育費の取り決めを行うことが重要です。
取り決めが不十分だったり、曖昧だったりすると、養育費が未払いになるなどのトラブルが起こりやすいため注意が必要です。

養育費の取り決め方法や注意点は、以下のページで詳しく解説しています。

養育費の平均相場はどのくらい?

「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、養育費の平均相場は“母子家庭”で4万~5.5万円、“父子家庭”で2万~4万円となっています。
母子家庭の方が、より多くの養育費を受け取っていることがわかります。また、子供の人数が多いほど、養育費の金額も増える傾向にあります。

ただし、この調査の対象は、離婚時などに養育費の取り決めを行い、毎月の金額が決まっているケースに限られます。
取り決めをしないと、十分な養育費をもらえなかったり、そもそも養育費が支払われなかったりする可能性があるため注意しましょう。

参照:令和3年度 全国ひとり親世帯等調査(こども家庭庁)
母子世帯 父子世帯
人数 金額 推定世帯数 金額 推定世帯数
1人 40,468円 231,750 22,857円 5,875
2人 57,954円 131,259 28,777円 4,012
3人 87,300円 32,505 37,161円 1,966
4人 70,503円 8,184
5人 54,191円 1,140
不詳 39,062円 1,014 10,000円 168

【早見表】子供の人数・年収別の養育費相場

以下では、両親が「給与所得者」と仮定し、子供の人数・年齢別に受け取れる養育費の相場を紹介していきます。
基本的には、子供の年齢が上がるほど、養育費の相場も高くなっていきます。これは、子供が大きくなれば食費や進学費用など多くの出費が見込まれるためです。

なお、支払う側が自営業の場合、養育費の相場は下表よりも高額になる傾向があります。

子供が1人(0~14歳)の場合

もらう側の年収
年収0円(専業主婦) 年収200万円 年収400万円
払う側の年収 年収300万円 4~6万円 2~4万円 2~4万円
年収400万円 4~6万円 2~4万円 2~4万円
年収500万円 6~8万円 4~6万円 2~4万円
年収600万円 6~8万円 4~6万円 4~6万円
年収700万円 8~10万円 6~8万円 4~6万円
年収1000万円 12~14万円 10~12万円 8~10万円

子供が2人(いずれも0~14歳)の場合

もらう側の年収
年収0円(専業主婦) 年収200万円 年収400万円
払う側の年収 年収300万円 4~6万円 2~4万円 2~4万円
年収400万円 6~8万円 4~6万円 2~4万円
年収500万円 8~10万円 6~8万円 4~6万円
年収600万円 10~12万円 8~10万円 6~8万円
年収700万円 12~14万円 10~12万円 8~10万円
年収1000万円 18~20万円 16~18万円 12~14万円

子供が2人(15歳以上が1人、0~14歳が1人)の場合

もらう側の年収
年収0円(専業主婦) 年収200万円 年収400万円
払う側の年収 年収300万円 6~8万円 2~4万円 2~4万円
年収400万円 8~10万円 4~6万円 4~6万円
年収500万円 10~12万円 6~8万円 4~6万円
年収600万円 12~14万円 8~10万円 6~8万円
年収700万円 14~16万円 10~12万円 8~10万円
年収1000万円 20~22万円 16~18万円 14~16万円

養育費の金額はどのように決まるのか?

養育費の金額は、夫婦が合意すれば自由に設定できます。そのため、必ずしも相場に従う必要はありません。
しかし、ある程度の目安があると話し合いがスムーズに進み、相手の同意も得やすくなると考えられます。そこで、裁判所が公表する「養育費算定表」を参考にするのがおすすめです。

養育費算定表とは、両親の収入や子供の人数・年齢に応じて、養育費の相場をまとめた表のことです。裁判所のホームページに掲載されているため、離婚協議中の夫婦もすぐに閲覧が可能です。
「養育費の目安が知りたい」「金額でもめて話し合いが進まない」などとお悩みの方は、活用してみると良いでしょう。

目安となる養育費算定表とは?

養育費算定表は、両親や子供の状況に応じた“養育費の相場”がまとめられた表です。

子供の人数・年齢ごとに表が分かれており、養育費を支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)それぞれの年収をあてはめることで、相場を把握できます。
誰でも簡単に閲覧できるので、夫婦が養育費について話し合う際に役立つ可能性があります。

また、お互いの収入状況を表にあてはめるだけなので、手間や時間もかかりません。
さらに、養育費算定表は実際の調停や裁判でも利用されるため、双方が納得しやすいといえます。

ただし、両親が「給与所得者」なのか「自営業」なのかによって、あてはめる部分が変わってきます。相場にも違いがあるため、利用する際は間違えないよう注意しましょう。

今すぐ知りたい方は自動計算ツールが便利!

「今すぐに養育費の相場を知りたい」という方は、自動計算ツールを利用するのもおすすめです。

弁護士法人ALGでは、両親の収入や子供の人数・年齢を入力するだけで、簡単に養育費の相場を計算できるツールをご用意しています。
以下のページで利用できますので、ぜひご活用ください。

養育費の金額は後から変更できる?

当事者の合意があれば、養育費の金額はいつでも変更できます。また、調停や審判によって裁判所が変更を認めた場合も、養育費の増額・減額が可能です。
養育費を増額・減額できるケースについて、以下で具体的にみていきましょう。

養育費が増額されるケース

相手の同意が得られれば、養育費はいつでも増額できます。とはいえ、支払う側が簡単に増額に応じるとは限りませんし、そもそも話し合いが難しい可能性もあります。

その場合、裁判所に「養育費増額調停」を申し立て、裁判所を挟んで協議することができます。調停でも折り合いがつかない時は、「審判」に移行し、裁判所の判断を受けられるので、一定の結論を出してもらえます。

養育費の増額が認められやすいのは、以下のようなケースです。

  • 受け取る側が、病気やリストラに遭い収入が激減した
  • 支払う側が、転職や起業、昇進によって収入が増加した
  • 子供が私立学校に進学し、学費が上がった
  • 子供が病気になり、高額な医療費がかかる
  • 子供の習い事や留学にお金が必要となった

養育費を増額する流れについては、以下のページで解説しています。

養育費が減額されるケース

家庭状況や収入に変化があった場合、相手から養育費の減額を要求される可能性があります。減額の場合も、まずは当事者同士で話し合い、合意できなければ調停や審判で決定する流れになります。

養育費の減額が認められやすいのは、以下のようなケースです。

  • 支払う側が再婚し、新たに子供が産まれた
  • 支払う側が再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組をした
  • 支払う側が、病気やケガ、リストラに遭い収入が減った
  • 受け取る側が再婚をして、子供と再婚相手が養子縁組をした
  • 受け取る側が、転職や昇進により収入が増えた

養育費を減額する流れについては、以下のページで解説しています。

養育費の相場に関するよくある質問

Q:

養育費の相場を確認する際の年収はどのように確認しますか?

Q:

養育費を一括で支払う場合の相場はいくらですか?

A:

「養育費算定表」で月々の相場を確認し、支払期間分を合計すれば、養育費の総額を把握できます。例えば、以下のケースで計算してみます。

・子供の年齢:7歳
・養育費の金額:月4万円
・支払終期:20歳になるまで

この場合、養育費の総額は【4万×13年(156ヶ月)=624万円】が相場となります。

ただし、一括払いにすると、その額及び算出方法によっては、将来事情変更が生じた場合の増減額が難しくなります。また、一度にまとまったお金を支払う代わりに、「総額を減らしてほしい」と要求される可能性もあります。さらに、贈与税が課税される可能性もあります。
一括払いにするかどうかは、リスクも踏まえて判断しましょう。

Q:

養育費と住宅ローンの支払いの両方をする場合、養育費は相場より低くなりますか?

A:

離婚後、養育費を受け取る側がそれまでの家に住み続けるケースがあります。
このとき、養育費を支払う側が住宅ローンも負担する場合、支払う側の経済的負担を考慮し、養育費は相場よりも低くなる可能性があります。計算方法としては、

・支払う側の年収から、住宅ローンの金額を控除した額を支払う側の年収として養育費を算出する
・養育費の金額から、住居費相当額を控除して調整する

などが考えられます。

ただし、養育費の計算式にはもともと住居関係費が含まれていないため、論理的には養育費を減額する理由となりづらく、養育費を支払う側が受け取る側と子の住む家の住宅ローンを支払っていても減額されないケースもあるでしょう。

Q:

離婚時に妊娠中だった場合の養育費の相場はいくらですか?

Q:

未婚の場合の養育費の相場を教えてください

Q:

養育費が払われない場合はどうすればいいですか?

離婚後の養育費の相場についてご不明点があれば弁護士にご相談ください

養育費の相場は算定表で確認できますが、必ずしも適正とは限りません。家庭の事情や子供の状況によっては、相場から増額・減額することも可能です。
しかし、相手が適正額の支払いに応じてくれるかは分かりませんし、そもそも話し合いに応じてくれない可能性もあります。

弁護士であれば、ご依頼者様の状況に合わせて適正な養育費を算定することができます。また、相手との交渉をすべて任せられるため、トラブルになるリスクも抑えられるでしょう。

弁護士法人ALGは、養育費の問題について経験豊富な弁護士が揃っています。相手が支払いに応じない場合、法的手段も含め、適切な対処法をしっかり提案させていただきます。

養育費についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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