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離婚不受理届が出されたら離婚はできない? 離婚する方法は?

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

以前に記入してあった離婚届を役所に提出しに行ったら、離婚不受理届が出されており、離婚届が受理されなかったという事態が生じるときがあります。

離婚不受理届を出されていたら離婚できないのでしょうか?
離婚不受理届が出ていても離婚できる方法はあるのでしょうか?
そもそも離婚不受理届とは何なのでしょうか?

そこで本記事では“離婚不受理届”に関して、詳しく解説していきます。

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離婚不受理届が出されたら離婚はできない?

離婚不受理届が役所に提出されていると、申出人以外の者が離婚届を提出しても受理してもらえません。

受理してもらう(離婚を成立させる)には、まずは、相手を説得して離婚不受理届を取下げしてもらうように交渉してみます。
交渉しても取り下げてもらえない場合は、家庭裁判所に離婚調停・離婚裁判の順に手続きを行うことになります。

離婚不受理届を提出されていても、離婚調停・離婚裁判を申し立てることはできますし、離婚調停や離婚裁判の結果で離婚が成立すれば、離婚できます。

離婚不受理届(離婚届不受理申出)とは

離婚不受理届(離婚届不受理申出)とは、役所に対して離婚届が提出されても受理しないよう、事前に届け出ておく制度です。
離婚不受理届を受け付けた役所の窓口は、夫婦それぞれの合意のもとかどうかなどは調査することなく、離婚不受理届に形式的な不備がなければ受理します。

したがって、離婚不受理届は夫婦の一方が単独で提出することができ、他方が勝手に離婚届を提出して離婚が成立してしまう事態を防げます。
知らないうちに離婚が成立していたという事態を防ぐために離婚届不受理申出の制度が設けられています。

離婚不受理届(不受理申出)について、下記ページでさらに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

偽造した離婚届を役所へ提出するのは犯罪

偽造した離婚届を役所へ提出すると犯罪行為になり得ます。
具体的に、次のような罪に問われる可能性があります。

  • 離婚届に配偶者の分を勝手に署名したり押印したりした場合・・・有印私文書偽造罪(刑法第159条1項)
  • 偽造した離婚届を役所に提出して行使した場合・・・偽造有印私文書行使罪(刑法第161条1項)
  • 公務員に虚偽の申立てをして戸籍や公正証書などの文書に間違った記載をさせた場合・・・電磁的公正証書原本不実記載罪(刑法第157条1項)

さらに、相手から離婚を無効にするための法的手段を取られたり、損害賠償請求を受けるおそれもあるため、離婚届の偽造は絶対にしてはいけません。

離婚不受理届が提出されているかを確認する方法は?

配偶者が離婚不受理届を提出していても、役所から連絡は来ませんし、役所に離婚不受理届が提出されているかどうかの確認をすることもできません。
離婚届を提出しても、役所に受理されなかったときにはじめて離婚不受理届が提出されていたことがわかります。

なお、離婚届を提出すると、離婚不受理届を提出している側には役所から離婚届が出されたことについて連絡がいく運用になっています。

離婚不受理届に有効期限はない

以前は、離婚不受理届には最長6ヶ月の有効期限がありました。
法改正により、平成20年5月1日から有効期限はなくなり、一度、離婚不受理届を提出してしまえば、取下げをするまでの間は制限なく有効となりました。

なお、郵送による離婚不受理届の提出や取下げは原則認められず、申出人本人が役所の窓口へ直接必要書類を持参する必要があります。

離婚不受理届が出ていても離婚できる方法は?

離婚不受理届が出されているけども離婚したいという方もいらっしゃるかと思います。
次項より、離婚不受理届が出されていても離婚できる方法を解説していきましょう。

相手に離婚不受理届を取り下げてもらう

まずは、相手を説得して離婚不受理届の取下げをしてもう方法です。

離婚不受理届は、一度提出すると申出人本人が取下げを行わない限り、離婚届を受理してもらえません。
離婚不受理届の取下げは、届け出した役所に行き、取下げ用の申請用紙に必要事項を記入し、顔写真付きの身分証明書を持参すれば、手続きできます。

相手の説得が難しかったり、相手と直接やりとりするのに苦痛を感じたりする場合は、弁護士を介して離婚協議として離婚不受理届の取下げについて交渉することも可能です。

相手が離婚届を提出する

離婚不受理届が提出されていても、申出人本人が離婚届を提出すれば、受理してもらえます。
よって、申出人本人と離婚に関する合意を取り付ける必要があります。

離婚に合意してもらうには、離婚条件を譲歩するのもひとつの方法です。
例えば、「離婚に合意してくれれば、財産分与としてマイホームを譲る」、「慰謝料として300万円渡す」などです。

また、相手がどうして離婚したくないのか理由を聞くことは大切です。
理由を聞いたうえで、解決できなければ離婚について合意するのは難しいでしょう。

離婚調停・離婚裁判を利用する

相手と話し合っても離婚不受理届の取下げをしてくれない、離婚に応じてもらえない場合は、家庭裁判所に離婚調停・離婚裁判の順番で手続きを行います。

離婚調停は、裁判官や調停委員を交えて話し合いで離婚の合意を目指す手続きです。
あくまでも話し合いですので、相手が離婚を拒否したり、離婚条件で折り合いがつかなかったりすれば、調停不成立となります。

調停不成立になった後は、離婚裁判を提起して、裁判所が一切の事情を考慮して、離婚について判断します。
離婚裁判では、「不貞行為」、「悪意の遺棄」などの民法が定める5つの離婚を認める事由(法定離婚事由)にあてはまれば、相手が離婚を拒否し続けていても、離婚が認められます。

なお、離婚調停を経てから離婚裁判をしなければならないという調停前置主義がありますので、離婚調停をせずにはじめから離婚裁判を起こすことは基本的にできず、まずは離婚調停から進めなければいけません。

離婚調停と離婚裁判については、それぞれ下記ページで解説していますので、ぜひご覧ください。

離婚不受理届が出された・取り下げない理由は何か?

離婚不受理届を出された、取下げをお願いしたけども取り下げしてくれないという状態は、相手が離婚をしたくないと考える理由があるからです。 次項より、考えられる理由を挙げて確認していきましょう。

お金の問題

お金の問題があり、離婚をしたくないと考えて離婚不受理届を出したり、取り下げしてくれなかったりするケースがあります。
具体的には次のようなケースが考えられます。

  • 慰謝料、財産分与、養育費などお金に関する離婚条件で納得できない
  • 慰謝料、財産分与、養育費などを1円たりとも支払いたくない
  • 有利な離婚条件を提示されるまで拒否しようと考えている
  • 離婚後の生活(経済面)が不安
  • 専業主婦(主夫)の期間が長かったため、離婚後働いて収入を得られる自信がない
  • 婚姻費用をできるだけ長くもらいたいから など

子供の問題

子供の問題があり、離婚をしたくないと考えて離婚不受理届を出したり、取り下げしてくれなかったりするケースがあります。
具体的には次のようなケースが考えられます。

  • どちらが親権者になるのかで激しく揉めている
  • 子供を片親にさせたくない
  • 子供がまだ小さく、寂しい思いや不自由をさせたくない
  • 離婚したら子供に会わせてもらえない気がするから
  • 子供が成人、就職、結婚などで自立するまでは両親揃った状態でいたい など

離婚理由に納得できない

ご自身が配偶者に対して、離婚を申し出したときに離婚理由に納得ができずに離婚をしたくないと考えて離婚不受理届を出したり、取り下げしてくれなかったりするケースがあります。
具体的には次のようなケースが考えられます。

  • 「性格の不一致」、「気持ちが冷めた」などの離婚理由が抽象的で納得できない
  • 離婚理由を聞いても、曖昧にしか語らず、ちゃんと説明してくれない
  • 離婚して不倫相手と再婚するのが許せないから など

自分に好意がある

ご自身に相手がまだ好意を抱いているから離婚を拒否しているというケースは結構あります。
今は関係がこじれてしまっていても、本来愛し合って結婚した二人です。
相手としては、ご自身に対して愛情や未練が残っていれば、離婚をしたくないと考えるのは当然だといえるでしょう。

いまだ好意を寄せている配偶者から離婚を求められたら、計り知れないほどの苦しみがあると思われ、話し合いをしても良い方向に進めないことが考えられます。
一旦、時間を置いてお互い気持ちを落ち着かせてから話し合いの場を設けるようにするのが得策です。

離婚不受理届が出されてしまうとなかなか離婚ができなくなります。少しでも早い解決を望まれるならば、弁護士にご相談ください

離婚不受理届が提出されていて、なかなか離婚ができずに困っている方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、代わりに相手と交渉できますので、離婚不受理届の取下げをするように説得することも可能ですし、離婚に合意してもらえるように働きかけることもできます。

また離婚不受理届が提出されていても、離婚調停や離婚裁判など裁判所が関与して決定した離婚であれば、離婚が認められますので、裁判所の手続きを代理し、法的観点から離婚が認められるように尽力することも可能です。

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保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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