モラハラの子供への影響と離婚して子供を守る方法について
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
夫婦間でモラハラが行われている、もしくは親子間でモラハラが行われている状況下で、子供が生活を続けると、子供は何を感じてどのように育つのでしょうか?
まず、モラハラが起こっている家庭は、家の雰囲気は険悪であり、常に張り詰めた空気が漂っていることが多いです。また、常に家庭のなかで怒号や罵声が飛び交う様子を見ている子供は、モラハラをする親に対して常に委縮し、心や脳にダメージを負い、健全な成長の妨げになっていることは言うまでもありません。
よって、モラハラをする相手から子供を守ることが何よりも先決です。
そこで、本記事では、“モラハラが子供に与える影響”や“モラハラをする配偶者と離婚して子供を守る方法”、“モラハラが原因で離婚する場合の子供の親権や慰謝料について” など、モラハラをする相手に対して、子供への影響や子供を守る方法などに焦点をあて、わかりやすく解説いたします。
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モラハラの特徴
モラハラとは、「モラルハラスメント」の略語で、モラル(=道徳や倫理)に反してハラスメント(=嫌がらせ)をする行為をいいます。
身体的に危害を与える暴力だけなく、言葉や態度で相手に精神的な負荷をかけて、じわじわと追い詰めていきます。
モラハラをする人の主な特徴は、次のようなものが挙げられます。
- 思い通りにならないと人格を否定する
- 自分に非があっても謝らない
- 日常的に暴言を吐く
- 間違いを責め続ける
- 自分自身には甘く、人には厳しい
- 束縛をする
- 話しかけてもあからさまに無視し続ける
- 外面が良い(家庭の内と外で態度が違う)
など
モラハラは、「夫から妻へ行われるもの」というイメージがありますが、実際は、夫も妻もモラハラ行為の被害者になり得ます。
また、子供に被害が及ぶケースもあります。
子供へのモラハラ
親が無意識に子供に対して行っている日常的な叱責や暴言、過度の注意や人格の否定などが、子供へのモラハラとして大きな心の傷を残すケースがあります。
具体的には、次のようなケースが子供へのモラハラの特徴です。
- 子供が何か失敗すると、長時間説教や叱責が行われる
- あえて子供が傷つくようなことを言う
- 兄弟姉妹間であからさまに差別する
- 機嫌が悪いと子供が大切にしているものを壊したり、捨てたりする
- 一定期間、意図的に子供を無視する
- 子供の意見を一切聞き入れずに、自分の考えが正しいと固執する
- 気に入らないことがあると子供の前で舌打ちやため息をつく
など
しつけとモラハラの違い
「しつけ」とは親が感情的にならずに、子供が幸せに生活できるための行動習慣を育てること、礼儀・作法を教えることをいいます。
対して、「モラハラ」は言葉や態度で親が感情的に子供をコントロールしようと、子供を精神的に追い詰める行為を指します。
大きな違として、「しつけ」は、子供にプラスの影響を与えますが、「モラハラ」は、子供にマイナスの影響を与えることだといえます。
親は「しつけ」のつもりで、子供のことを思って行った言動だったとしても、子供の心や体を傷つける教え方は「しつけ」とはいえません。
離婚を考えるほどのモラハラが子供に与える影響
日常的に家庭内のモラハラを目の当たりにしたり、ときには直接親からモラハラ被害を受けたりしている子供は、自尊心を傷つけられるだけでなく、モラハラを行う親に恐怖を感じて委縮し、心にダメージを負って辛い気持ちを抱えている可能性が高いです。
具体的には、モラハラが子供に与える影響は次のようなものがあります。
- 学校でモラハラ加害者と同じように暴言を吐く、言葉遣いが悪くなる
- 学校になじめず、友人を作れないでいる
- 人の顔色を伺って、物事を判断するようになる
- 将来子供もモラハラを行うような大人に成長してしまう
- キレやすくなる
- 二面性を持つようになる
- 本心を他人に言えないようになる
- ストレスをいじめで発散してしまう
など
モラハラをする配偶者と離婚して子供を守る方法
モラハラ加害者は、モラハラ行為をしている自覚がない人が多いといわれています。
また、モラハラ加害者はプライドが高いため、「子供にも悪影響が及んでいるので、言動を改めてほしい」、「モラハラを辞めてほしい」などと指摘されたり注意されると逆切れをして逆効果となり得ます。
モラハラ加害者が変わってくれると期待するよりも、子供を守るために次のような行動に移すことをお勧めします。
- まずは子供を連れて別居する
- 警察や専門機関へ相談する
- 離婚や子供の問題に詳しい弁護士に相談する
次項で、それぞれわかりやく解説していきます。
まずは子供を連れて別居する
子供を守るためには、できるだけ早くモラハラ加害者から子供を引き離すことが重要です。
そのためには、子供を連れて早いうちに別居することを検討してください。
「別居したいけど、別居後の生活が不安だ」と思って、別居へ踏み切れない方もいらっしゃると思いますが、自分よりモラハラ加害者の収入が多ければ、婚姻費用を請求できます。
婚姻費用とは、別居中の生活を維持するために必要な費用を指します。
具体的には、衣食住に必要な経費、教育費、衣装費などになります。
婚姻費用の請求は、通常「請求した時点から」です。
そのため、別居を開始したらできるだけ早期に婚姻費用を請求することが大切です。
婚姻費用の計算方法と請求の流れは、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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警察や専門機関へ相談する
モラハラを受け続けると精神的に疲弊して、適切な判断や対応ができなくなってしまうことが多いといわれています。
モラハラを受けている現状を打破したいと考えているのであれば、警察や専門機関にモラハラを受けている事実を相談して、子供や自分自身を守るためにどうするべきか、適切なアドバイスをもらうことが有用です。
警察に相談する場合は、近隣の警察署に直接行くか、警察相談専用電話「♯9110」に連絡すれば相談できます。専門機関に相談する場合は、DV相談プラスや女性センター、配偶者暴力相談支援センターなどで無料の相談を受けられます。
子供が相手からモラハラ被害を受けている場合は、心理的虐待という児童虐待に該当し得ますので、児童相談所へ相談することも検討すべきです。
離婚や子供の問題に詳しい弁護士に相談する
モラハラ被害だけでなく、別居や離婚についてのアドバイスが欲しい場合は、弁護士に相談すると、適切なアドバイスを受けることができます。
また、子供に関する問題も、これ以上子供に悪影響を及ぼさないためには、どのように進めていくべきかを個別の事情に沿って、アドバイスしてもらえます。
弁護士のなかには無料相談を実施している場合がありますので、無料相談を利用すると費用をかけずに有益な情報や知識を得られます。
モラハラが原因で離婚する場合、子供の親権や慰謝料はどうなる?
まず、親権を決める際は、「子供の福祉(幸せ)」が最も重視されます。
モラハラ行為が子供にも危害があり、悪影響を及ぼしていた状態であれば、子供の福祉の観点から、モラハラ加害者が親権者となる可能性は低いと考えられます。
しかし、モラハラ加害者が主に子供の監護をしており、監護を継続することで子供の健全な成長に資するようであれば、モラハラ加害者が親権者となることも十分考えられます。
次に、慰謝料ですが、モラハラ行為は相手を精神的に虐待する不法行為にあたりますので、離婚慰謝料請求の理由になり得ます。
よって、モラハラ行為により精神的苦痛を受けた場合は、慰謝料請求することができます。
モラハラを理由に離婚したときの親権がどうなるのかや、慰謝料請求する方法については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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メールで相談するモラハラによる離婚と子供についての解決事例
モラハラを繰り返す夫から婚姻費用と子供の養育費と財産分与を得て離婚した事例
【事案概要】
ご依頼者様は、夫からの不合理なモラハラに耐えかねて、離婚したいと考えていました。
しかし、夫から別居をしたら生活費を一切渡さないと言われていたため、別居開始を躊躇している状態にあり、今後どう対応したら良いのかご相談されました。
【弁護士方針・弁護士対応】
夫は当初、離婚自体を拒否しつつ、婚姻費用の分担も低廉な金額しか応じないという回答をしていました。
受任段階からその回答は想定できていたため、担当弁護士は、最初から調停手続きで解決を図る方針で進めました。
【結果】
・婚姻費用について
裁判所を通じて協議したことによって、子供の習い事費用まで考慮した婚姻費用の金額を早期に取り決めることができました。
・離婚条件について
財産分与の一括払いを回避したいという夫の思惑が読み取れたため、こちらも最小限の譲歩をしたうえで早期解決に重きを置いて、あえて慰謝料を請求せずに、不動産以外の財産を含めて、合計2000万円以上の財産分与を比較的短期間で回収することで合意できました。
結果的に、依頼前は、夫から養育費10万円(20歳まで)、財産分与は不動産を除外して300万円程度と主張されていましたが、弁護士介入後、養育費10万円(22歳まで)、財産分与は約2000万円というご依頼者様が納得できる内容で無事に離婚が成立しました。
離婚後にモラハラ夫から子供3人の親権を取り戻した事例
【事案概要】
モラハラ夫から精神的に支配され、言うがままに夫を親権者に指定して協議離婚してしまった妻から親権を取り戻したいとのご相談を受けました。
【弁護士方針・弁護士対応】
子供全員が親権者変更を希望していたため、親権者変更の調停から始めました。
明らかな嘘を堂々と主張する夫に、子供が覚悟を決めたため、やむを得ず子供が撮影した自宅写真を提出しました。そこには、父親が主張する様子とは正反対の様子が写っていました。
【結果】
無事に未成年者3人全員の親権変更が認められました。
子供へのモラハラに関するQ&A
- Q:
子供へのモラハラが原因の離婚でも面会交流させなければいけませんか?
- A:
面会交流は子供のための制度であるため、実施するかどうか、裁判所が決めるときに重視するのは「子供の福祉」です。面会交流の実施が、「子供の福祉」に反する場合には、面会交流を禁止・制限する必要が生じます。
親からのモラハラ行為が原因で、子供の心に大きな傷が残っていた場合、子供のための面会交流が、かえって子供に負担を強いるものとなってしまいます。そのため、面会交流の禁止・制限が認められる可能性があります。
このように、子供へのモラハラは、その内容や程度によっては、面会交流の禁止・制限事由になり得ます。裁判所に禁止すべきだと判断されれば面会交流させずに済みますし、禁止ではなく制限すべきだと判断されたとしても、写真や手紙でのやりとり等、間接的な面会交流や、第三者機関を利用しての面会交流が実施されるに留まるでしょう。
面会交流を拒否する方法について、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
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- Q:
夫が上の子にだけモラハラします。下の子は家に残りたがっているのですが、一人だけ連れて別居したら親権に影響するでしょうか?
- A:
裁判所は、親権について判断するとき、できる限り兄弟(姉妹)は分離せず、なるべく一緒に育てるのが望ましいとする考え方(兄弟(姉妹)不分離の原則)をとっています。つまり、上の子と下の子の親権者を分けることには消極的であるため、上の子を連れて別居することが夫のモラハラによるものと認定され、緊急的な措置として適切と評価されれば、下の子だけを家に残したことが、ことさら親権争いの際に不利になるというものではないと考えられます。
ただし、上の子を連れて別居してから長期間、下の子の引渡し請求を行わず、相手方に監護実績が積まれ、下の子も相手方になついている場合には、注意が必要でしょう。下の子だけ置いて別居し、長期間その状況を維持しているということは、“下の子に対する監護者として相手方が適切だ”と認めているのではないか、と判断されかねません。
したがって、上の子と下の子、両方の親権を希望される場合には、できるだけ早く裁判所の手続等を検討すべきでしょう。
子供へのモラハラを理由に離婚するなら、弁護士に依頼することをおすすめします
子供へのモラハラを理由に離婚を考えている方は、離婚問題に精通した弁護士に相談・依頼することをお勧めします。
モラハラ行為をする相手とは、対等な関係ではないため、ご自身では直接「子供を連れて別居したい」、「親権を獲りたい」、「慰謝料を請求したい」など、なかなか離婚に関する希望や要望を伝えられないことが多いです。
そもそも、相手に恐怖を感じて「離婚したい」という言葉さえも相手に言えないケースもあります。
弁護士であれば、代わりにモラハラ加害者と交渉できるため、相手と直接やり取りする精神的負荷がかからずに、有利な内容で離婚手続きが進められる可能性が高まります。
早く苦しい状況から解放されて、子供と一緒に幸せな生活が送れるよう、全力でお手伝いさせていただきます。まずはお気軽に弁護士法人ALGにお問合せください。
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- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)