熟年離婚は準備が重要!後悔しないために知っておきたいお金のことなど

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
近年、長年夫婦として連れ添った夫婦が、様々な原因から離婚する「熟年離婚」が多いといわれています。
熟年離婚では、離婚後の経済面や社会面での不安に直面する方が多い傾向にあります。
そのため、離婚後の人生設計をどのように描くか、離婚する際に財産分与や慰謝料などでどのくらいのお金を確保できるか、離婚後の住まいはどうするか、など事前にしっかり考えて、準備しておくことが大切です。
そこで、本記事では、“熟年離婚で後悔しないための準備”や“熟年離婚で知っておきたいお金のこと”、“熟年離婚を円滑に進めるポイント”など、「熟年離婚の準備」に焦点をあてて、わかりやすく解説していきます。
熟年離婚をご検討の方は、ぜひご参考になさってください。
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熟年離婚で後悔しないための準備
熟年離婚を検討している場合は、離婚後の生活がイメージと大きく異なってしまい、「離婚なんてしなければ良かった」と後悔しないための事前準備が大切です。
具体的には、次のような準備が必要となります。
- 生活費を試算する
- 住まいを確保する
- 味方を作っておく
次項で、それぞれ詳しく解説していきます。
生活費を試算する
離婚後の生活費がわからなければ、具体的な計画が立てられないため、事前にどのくらいの生活費が必要となるか試算しておくことが大切です。
具体的には、次のような収支を試算しておくことをお勧めします。
- 離婚後、家賃、食費、光熱費、保険料、教育費など具体的にどのくらい支出があるか
- 離婚に伴って、財産分与、慰謝料などでどのくらいのお金がもらえるか、もしくはお金を渡さないといけないか
- 離婚後、月々収入を得られるか、もしくは現在の仕事をいつまで続けられるか
- 受け取れる年金額はいくらになるか、もしくは何年後にいくらもらえるか
など
住まいを確保する
熟年離婚後の住居についても、離婚前にきちんと準備しておくことが重要です。
例えば、夫婦が持ち家に住んでいた場合、離婚後どちらが住むのか、それとも売却するのか等、持ち家の財産分与の方法を離婚時に決める必要があるため、あらかじめ検討しておくことをお勧めします。
また、熟年離婚後、賃貸物件に住む予定である場合は、賃料や職場への通勤といった離婚後の生活状況を踏まえて物件を探していくことになります。時間を要することが予想されるため、熟年離婚する前にある程度目星をつけておいた方が良いといえます。
味方を作っておく
熟年離婚後は、1人で生活をすることになる方が多いかと思います。
離婚後に常に味方でいてくれて頼れる相手がいないと、体調が悪くなったときに悪化させてしまったり、孤独を感じてしまったりしてしまいます。
離婚が成立する前でも味方を作っておくと、配偶者に不満をもっている話を聞いてもらうだけで精神的に楽になり得ます。
万が一、離婚裁判まで進んでしまった場合には、配偶者に離婚原因がある事実を立証するための証人になってもらえる可能性があります。
子供がいるのであれば、熟年離婚する際に子供の家の近くに引っ越すと、何かあったときにすぐに子供に頼ることができますし、子供と定期的に会って話をするだけで孤独を感じることもなく、心の支えとなり得ます。
また、町内会に所属して近隣の人と繋がりを持っておくことも大切です。
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メールで相談する熟年離婚の準備で知っておきたいお金のこと
熟年離婚を検討している方は、何よりも気になるのがお金のことではないでしょうか。
熟年離婚する前にきちんと調べて把握したうえで、お金について取り決めておかないと、離婚後、不安定な生活を送ることになり兼ねません。
離婚する際に発生し得るお金は、次のとおりです。
- 財産分与
- 年金分割
- 退職金
- 慰謝料
- 養育費
財産分与
婚姻期間中に築いた財産は、離婚時に共有財産として財産分与することになります。しかし、財産の種類や個別の状況によって、財産分与の対象になるものとならないものがあります。また、相手が隠し財産を有している可能性もあります。
離婚後の生活で、経済的不安を抱えないためにも、適切な財産分与を受けることはとても重要です。熟年離婚の場合、婚姻期間が長いことから財産分与が高額であるケースが多いので、離婚する前に、財産分与の対象となる財産を正確に確認しておきましょう。
財産分与についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
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年金分割
年金分割とは、離婚する際に、婚姻期間中の厚生年金保険料の納付記録を分割して、それぞれの納付記録にできる制度です。
離婚によって、夫婦のうち収入の低い側が生活に困るおそれがあるため、年金分割をしておくことで年金を受給する際に、老後の生活資金を確保することができます。
年金分割には、合意分割と3号分割があります。
- 合意分割
夫婦の合意により分割割合を定めて、厚生年金保険料の納付記録の分割を行う方法 - 3号分割
専業主婦(主夫)やパートタイマー勤務などの国民年金第3号被保険者からの請求により、相手の厚生年金保険料の納付記録を2分の1ずつ分割する方法
なお、離婚すると、遺族年金や加給年金は支給されません。
また、65歳前に離婚した場合には振替加算も支給されないため注意が必要です。
年金分割は老後の生活に直結する可能性があるため、熟年離婚する前に年金分割をすると将来どのくらいの年金額を受け取れるのか、きちんと確認しておくといいでしょう。
年金分割についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
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退職金
退職金は、給与の後払い的な性質があると考えられているため、財産分与の対象となり得ます。
ただし、退職金が財産分与の対象になるのは、すでに退職金が支払われていて手元に退職金が残っているケースと、退職金の支給がほぼ確実であると見込まれているケースになります。
また、支給が見込まれる場合であっても、退職金全額が対象になるわけではなく、婚姻期間に応じた部分のみが財産分与の対象となります。
退職金が財産分与の対象となるのか、対象となる場合にどのくらいの金額になるのかは、熟年離婚する前に確認しておくと有用です。
離婚時の退職金についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
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慰謝料
熟年離婚においても、相手に婚姻関係を破綻させた有責性がある場合には、慰謝料をもらえる可能性があります。
また、慰謝料を請求したものの、相手の合意を得ることができないようであれば、裁判所で手続を行うことになります。その際、裁判所に慰謝料請求を認めてもらえるかどうかは、熟年離婚に至った原因によって異なります。
民法上の離婚事由にも含まれている、配偶者の不貞行為や悪意の遺棄によって熟年離婚に至った場合は、慰謝料請求を認めてもらえる可能性は高いでしょう。ただし、これらの行為があったことの証拠が必要になります。
熟年離婚する前に、ご自身の状況で慰謝料を請求できるかどうか確認したり、証拠を集めたりしておくことをお勧めします。
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養育費
養育費とは、子供の監護や教育のために必要な費用をいいます。
社会的にも経済的にも自立していない子供がおり、熟年離婚後、子供と一緒に暮らす側は、相手に養育費を請求できます。
なお、養育費はいつまで支払わなければならないという決まりはありませんが、「成人を迎えるまで」や、「大学を卒業するまで」、「就職するまで」と取り決めるケースが多いです。
熟年離婚を円滑に進めるポイント
できるかぎり協議離婚での成立を目指す
離婚する方法には、主に協議離婚、離婚調停、離婚裁判があります。
離婚調停と離婚裁判は、裁判所の手続きですので、1ヶ月~1ヶ月半に1回のペースで期日が開催されるケースが多く、時間がかかります。
また、裁判所に指示された書面や証拠を提出する必要がありますので労力や手間がかかります。
協議離婚は、話し合う場所や時間を選びませんので、夫婦双方が都合の良いタイミングで話し合うことが可能です。
熟年離婚は、婚姻期間が長い分、争点が多い傾向にあるので、柔軟な話し合いでの解決が最適です。
また、協議離婚は、法的な手続きが不要ですので費用もかかりません。
夫婦間だけの話し合いで解決できるのか不安な方は、弁護士を介入させて円滑に協議離婚を進める方法もあります。
協議離婚についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
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法律上の離婚事由に該当するかを確認する
協議離婚や離婚調停で合意に至らなかった場合は、最終的に離婚裁判を提起することになり、一切の事情を考慮して、裁判官が離婚について判断を下します。
離婚裁判で離婚を認めてもらうには、相手の浮気・不倫やDV、モラハラなどの法律上の離婚事由(法定離婚事由)が必要になります。
また、離婚を求めている側である原告が、主張だけでなく、法定離婚事由のある事実を証拠収集・提示して立証する必要があります。
したがって、あらかじめ離婚したい原因が法定離婚事由に該当するかどうかや、証拠の収集が大切になります。
裁判上の離婚原因(法定離婚事由)についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
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「浮気・不倫」や「DV」、「モラハラ」が離婚原因の場合の証拠については、下記の記事でそれぞれ詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
弁護士に相談する
熟年離婚の場合は、離婚後の生活面・経済面を心配する方が多いので、財産分与で揉めがちです。
また、婚姻期間が長いので財産分与の対象となるものが高額になるケースが多く、夫婦双方の合意が得られにくい傾向にあります。
財産分与をはじめ、離婚条件で損しないためには、法律の専門家である弁護士に相談しておくと、的確なアドバイスをもらえますので、有利な解決が期待できます。
熟年離婚の準備に関するQ&A
- Q:
熟年離婚の準備で就職が決まった場合、夫に報告する必要はありますか?
- A:
就職が決まった場合であっても、それを夫に報告する法的な義務はありません。
就職して一定の収入があるということを積極的に伝えると、夫が生活費は自身(妻)の収入から賄うよう要求し、生活費をくれなくなる可能性がありますし、実際にこういったご相談を受けることもあります。
このように、就職したことが相手方に知られることで、有利な内容で離婚ができないといった可能性も考えられるため、離婚が済んでいない状況においては、あえて就職したという話を自分からする必要はないものといえます。
- Q:
熟年離婚の準備としてへそくりをするのは違法になりますか?
- A:
へそくりすること自体は違法になりません。
しかし、へそくりとして蓄えているお金の出どころが、夫婦が婚姻中に稼いだお金である場合には、財産分与の対象となります。
よって、離婚時に夫婦で公平に分け合うことになります。また、相手に隠していて、財産分与後にへそくりが見つかった場合は、後からでも折半することになったり、損害賠償請求されたりするおそれがあるので注意が必要です。
へそくりが財産分与の対象になるのかについての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
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- Q:
専業主婦が熟年離婚をする際、どのような準備をしておくとよいですか?
- A:
婚姻期間中、専業主婦だった方は、熟年離婚前に仕事を見つけて収入を得られるように準備しておくことが最も重要です。
職歴がなかったり、ブランクが空いていたりする場合には、仕事探しに苦戦することが予想されます。
できるだけ早めに就職活動をしたり、資格取得のために勉強をしておくようにしましょう。そして、離婚時に相手に請求できるお金についてもしっかり把握し、請求の準備を進めておくことも肝心です。
熟年離婚で必要な準備は色々あります。弁護士に依頼してスムーズに進めましょう
熟年離婚をすると決意したら、まずは事前準備しておくことが大切です。
事前準備をせずに離婚を進めてしまうと、本来もらえるはずのお金を受け取れず、離婚後の経済面や生活面で苦労を強いられるおそれがあります。
そして、感情に任せて離婚したばっかりに、離婚したことを後悔するという事態に陥りかねません。
熟年離婚は、婚姻期間が長い分、争点が多くなる傾向にあり、夫婦間での話し合いではなかなか合意できないケースが多く見受けられます。
また、法律の専門的知識が必要となるケースが多いので、自力で進めていると気付かないうちに不利な条件で合意している可能性もあり得ます。
熟年離婚をご検討の方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士にご相談いただければ、各家庭の事情を丁寧に聴き取り、ご相談者様の状況に応じたアドバイスやサポートをいたします。
弁護士法人ALGは、離婚問題に精通した弁護士が多数在籍しています。
ぜひ、お気軽に弁護士法人ALGにお問合せください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)