依頼者が有責配偶者であることを理由に相手方が離婚を一切拒絶していたところ、離婚訴訟の控訴審にまで発展した上で、和解離婚が成立した事例
有責配偶者側からの離婚請求
状況 | 離婚 離婚したい |
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離婚の原因 | 不倫・浮気 |
離婚の争点 | 離婚 養育費 |
手続きの種類 | 調停 裁判 |
担当事務所 | 千葉法律事務所 |
- 結果
-
- 【依頼前】
相手方は離婚を一切拒絶
- 【依頼後・終了時】
和解離婚成立
- 【依頼前】
事案概要
依頼者が相手方からの精神的虐待等を理由として離婚を決意し、相手方に離婚を求めました。これに対し、相手方は、依頼者が相手方以外の男性と不貞関係にあり有責配偶者に該当すること、また、そもそも婚姻関係は破綻していないことを理由に離婚を一切拒絶し続けました。
依頼者としては、相手方との離婚原因において当該男性は関係がないし、そもそも不貞をしていた事実もないと主張しましたが、相手方が離婚に応じることはありませんでした。
別居後も離婚協議が全く進まないまま数年が経過したころ、長期間の別居をも理由に加えて離婚請求を進めるべく、依頼者は弊所に相談にいらっしゃいました。
弁護士方針・弁護士対応
弁護士は、速やかに離婚調停を申し立て、改めて相手方に対して離婚を求めましたが、相手方は特に具体的な理由を述べることもなく、ただ離婚を拒絶する一方で、早期に調停不成立となりました。
その後、弁護士が離婚訴訟を提起し、改めて離婚を求めたところ、相手方は訴訟手続においては、依頼者の不貞に関する証拠を提出し、依頼者が有責配偶者であることを主張しました。
この訴訟では、依頼者が不貞をしていたか否か、仮に不貞をしていたとしてもその前に既に婚姻関係が破綻していたか否かが主な争点となりました。
弁護士は、相手方が提出した不貞の証拠(探偵の調査報告書)については、内容を細かく精査し、依頼者が当該男性と同室に宿泊したとは断定できないこと等を主張し、不貞の事実自体を争いました。また、婚姻関係破綻の事情に関しても、婚姻後の具体的なエピソードを主張して争いました。
しかし、このような訴訟活動も奏功せず、家庭裁判所では離婚請求棄却の判決が出てしまいました。その内容は、依頼者が不貞をしていたと認められる、当事者間の婚姻関係は、別居後の事情も踏まえると既に破綻しているといえるものの、不貞が認められる時点において破綻していたとは認められない、というものでした。
この判決を受けて弁護士は、依頼者に対し、控訴して控訴審で再び離婚を求めることを勧めました。弁護士の内心としては、控訴審判決で逆転する可能性があると考えていたほか、仮にそうでないとしても、第一審判決を受けた上で改めて控訴審において離婚前提の和解協議をすることに意義があり、控訴審の裁判官も交えて協議することで、和解離婚が成立する可能性があると考えていました。
結果
控訴審自体は1回結審で終了しましたが、控訴審の裁判官によって速やかに和解協議が開始されました。
その中で裁判官は、この訴訟の中では依頼者の不貞の有無が大きな争点となっているものの、そうはいっても別居後の双方の生活状況等からして、今後二人の婚姻関係が修復されることは考えにくいため、今後の人生に目を向けて、双方にとってより建設的な解決を目指すべきではないかという方向性を提案しました。
和解協議は双方個別に行われるため、裁判官と相手方が話した内容の詳細は分かりませんが、おそらく裁判官は、相手方の気持ちに寄り添って、子どもたちも含めた全員の将来を考えて、現実的かつ妥当な解決として、離婚を前提とした和解を提案したのではないかと思われます。
そのような裁判官の助言も大きく働き、最終的には控訴審において和解離婚が成立することになりました。
離婚条件として子らの養育費や慰謝料などを取り決めましたが、これらを総合的に見れば裁判実務の相場の範囲内のものでしたので、結果的に、依頼者にとっても過度な負担のない内容で終えることができました。
なお、最終的には控訴審の裁判官の助言によって大きく状況が動いた形にはなりますが、このような展開に至ったのも、第一審判決において当事者間の婚姻関係が既に破綻していると認められたこと、そのような第一審判決を受けた状態で、事実上の最終決戦である控訴審にまでコマを進めたことが効いているものと分析されます。
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