依頼者と相手方と相手方の夫は同じ職場であり、相手方の夫相手方と依頼者が不貞関係にあることが発覚し、関係断絶及び慰謝料を請求された。依頼者は、その不倫関係を維持したいが慰謝料はできる限り、支払いたくないというむしのよい要望を叶えてほしいという相談であった。

相手方は、自身の夫と依頼者が接触しないよう要求してきており、それは真っ当であるため、断れないが、依頼者は不貞関係を続けたいという悩ましい要求であったが、時間をかけてじっくり双方の意向を聞きつつ、話し合いを進めていくことでそのうち、相互の妥結点が見い出せるやもしれないという模索的な示談交渉をせざるを得なかった。

当初は、未だに不貞関係を続ける依頼者に相手方は怒り心頭であり、慰謝料請求のみならず、職場の退職も要求してきた。もっとも、退職してくれれば慰謝料は減額するともいってきて、辞める辞めない、辞めるとしたら、いつまでに辞められるか等の交渉を半年近く続けているうちに、職場の人事異動で依頼者が配転となり、また、依頼者の気持ちも徐々に相手方の夫から離れていった。

すると、職場も直接は話せないところに移ったということと、相手方の夫との私的接触を回避する約束もできるようになり、慰謝料の金額を３０万円まで下げることができた。

手書きの謝罪文も送付することを合意条件に入れたが、中身の検証等は条件内になく、定型的に軽く謝罪する文言を並べて事後的に送付することで足りた。一見、当初の依頼者の要求はとてもまともに交渉できやしないという内容であったが、受任して時間をかけて交渉を進めることにより、案外、よい結果を招来する事態も起こりうるのだなと実感できる結果となった。

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