妻の浮気で離婚する際の慰謝料はいくら?慰謝料相場や請求方法など
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
“妻が浮気をした。慰謝料を請求したいが、まず何をどうすればいいのかわからない……。”という方はいらっしゃいませんか。
ショックな気持ちや怒りが込み上げて、感情的になってしまい、相手(妻)とうまく話し合えなくなっているのではないでしょうか。
妻の浮気が疑われる場合、離婚慰謝料をきっちりと受け取るためには、知識を身につけて、事前準備を行うことがとても大切です。
本記事では、“妻の浮気に対する離婚慰謝料の請求前にすべきことや”“慰謝料の相場”など、浮気した妻に対する離婚慰謝料を請求する際の基礎知識を詳しく解説します。
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妻の浮気に対する離婚慰謝料の請求前にすべきこと
浮気をした妻に慰謝料請求したい場合は、次の条件を満たしている必要があります。
- 配偶者以外の者と肉体関係をもつ「不貞行為」があった
- 浮気(不貞行為)の証拠がある
- 慰謝料請求権の時効が成立していない
- 浮気(不貞行為)によって円満だった夫婦関係が破綻した
例えば、浮気相手と肉体関係はなく、食事に出かけたりメールのやりとりをしたりしていた、不貞行為以前から別居をしていてすでに婚姻関係は破綻していたなどの場合は慰謝料請求できない可能性が高いからです。
そのため、妻の浮気に対して離婚慰謝料を請求する前に次の準備を行いましょう。
- 妻の浮気の証拠を集める
- 妻の財産を把握する
- 浮気相手に請求する際の証拠を集める
次項でそれぞれ詳しく解説していきましょう。
浮気の慰謝料が認められるケースについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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妻の浮気の証拠を集める
浮気をした妻に対し慰謝料を請求するためには、妻が浮気相手と肉体関係を伴う浮気をしたという証拠が必要です。
例えば、以下のようなものは、妻が浮気相手と肉体関係を伴う浮気をしたことを認定させる、有力な証拠となり得ます。
- 妻と浮気相手がラブホテルに出入りする写真や動画
- ラブホテルの領収書やクレジットカードの利用明細、GPSアプリの追跡記録(ラブホテルへ出入りした形跡)
- 性行為の様子を撮影した写真や動画
- 妻と浮気相手の旅行の写真
- 妻の自白(肉体関係を伴う浮気を認める発言を残した録音データ)
- 浮気相手とのメールやLINE、SNSの投稿内容など(「また旅行に行こうね」「また泊まりに来てね」など、肉体関係があることをうかがわせるもの)
妻の財産を把握する
慰謝料請求の金額は妻の収入や個人の資産の有無などの支払能力も影響します。
また、妻の浮気が原因で離婚に至った場合も、離婚時に財産分与を取り決める必要があります。
そのため、妻の財産を事前に把握しておくことは大切です。
もし、妻が専業主婦で資力がない場合などは、慰謝料の分割払いや減額をする、妻の代わりに浮気相手に請求をするなど、回収方法を検討する必要があります。
浮気相手に請求する際の証拠
妻だけでなく、妻の浮気相手にも慰謝料請求は可能です。
浮気相手に慰謝料請求するためには、肉体関係があった事実を証明できる証拠に加えて、浮気相手が妻は既婚者であることを知っていた(故意)または不注意で既婚者であると気付かなかった(過失)ことと、浮気により円満だった夫婦関係が破綻したこと(不貞行為と婚姻関係破綻の因果関係)が必要となります。
例えば、以下のようなものが、浮気相手に慰謝料請求するときに有力な証拠となり得ます。
- 妻と浮気相手とのメールやLINEの中で、浮気相手が妻は既婚者であることを知っていることをうかがわせるやりとり
- 妻や浮気相手の自白(浮気を認め、既婚者である事実を浮気相手が知っているなどの発言を残した録音データ)など
ただし、注意しないといけないのは、妻から十分な慰謝料を支払われた場合は、浮気相手に二重に慰謝料請求はできません。双方に全額請求したからといって、2倍の慰謝料を受け取れるわけではありません。
浮気・不倫相手への慰謝料請求についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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浮気による慰謝料の相場
浮気の慰謝料の金額については、金額を算定する明確な基準はなく、婚姻期間の長さ、浮気の期間・回数・内容や家族状況、経済状況など個別の状況に応じて決められます。過去の裁判例などを参考にした慰謝料の金額の相場は、以下のとおりです。
離婚の有無 | 慰謝料の相場 |
---|---|
離婚しない場合 | 50万~100万円(別居なし) 100万~200万円(別居あり) |
離婚した場合 | 200万~300万円 |
このように、浮気による別居の有無や、浮気の結果離婚に至ったかどうかによっても、慰謝料の金額の相場は大きく変わる傾向にあります。
慰謝料の相場についてさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
浮気による離婚慰謝料が高額になる9つのケース
離婚に関する慰謝料を計算する明確な基準はないものの、一般的に、次のような場合に慰謝料が高額になりがちです。
- 婚姻期間・浮気期間が長い
- (特に未成熟の)子供がいる
- 妻・浮気相手の収入が多い
- 浮気が複数回行われている、浮気相手が複数人いる等悪質である
- 浮気相手の子供を妊娠・出産した
- 浮気を二度としないという約束に違反した
- 浮気相手に金銭を貢いでいた
- 浮気していないと嘘をついた
- 浮気が原因で別居・離婚した
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メールで相談する慰謝料をもらっても離婚する際に損する場合がある?
たとえ十分な慰謝料をもらっても、離婚によって慰謝料額を上回る金銭の支払義務が発生し、結果的に損してしまうことがあります。
例えば、財産分与や年金分割、養育費など、夫から妻に対し支払われる(分配される)経済的な負担額が、結果的には妻から支払われた慰謝料の金額よりも高額になってしまうケースが考えられます。以下、詳細を解説します。
財産分与
婚姻生活中に夫婦で築いた財産は、離婚時に、原則として二等分され、浮気をした妻に対しても分配されます。
そのため、例えば、妻から100万円の慰謝料が支払われても、夫婦の共有財産が1000万円ですべて夫名義の場合、財産分与として夫から妻に500万円が分配されます。すると、夫は、浮気をされたにもかかわらず、結果的には妻に慰謝料を差し引いた400万円を支払わなければなりません。
財産分与の定義や詳細、退職金の取扱いについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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年金分割
離婚時の年金分割の内容によっては、妻から支払われる慰謝料よりも、夫から妻に分配される年金額の方が高額になることがあります。
夫が会社員で厚生年金に加入している場合で、かつ、夫の方が妻より多くの保険料を納付している場合、離婚時の年金分割制度により、夫の保険料納付実績の一部が妻に分割されます。そうすると、結果的には、夫と妻が将来受け取ることのできる老齢厚生年金の額が調整されます。端的に言えば、夫の年金額が減り、その分、妻の年金額が増えるということです。
年金として分配される金額は、その性質上、長期にわたり、累積されると高額になります。そのため、離婚時に妻から慰謝料が支払われていたとしても、結果的には夫から妻に分配される年金額の方が高額になってしまうケースもあります。
年金分割の詳細について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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養育費
養育費は、離婚によって子供と離れて暮らす親が、子供と一緒に暮らす親に、子供が経済的・社会的に自立するまで長期に渡って支払うものです。子供が幼いときに離婚すれば、15年や20年ほど養育費を支払うケースもあります。
離婚に伴い、妻が子供の親権者となり、子供と一緒に暮らして養育する場合は、離婚時に妻が夫に慰謝料を支払った額よりも、夫が妻に子供が自立するまでに支払う養育費のトータル金額のほうが、高額になる可能性があります。
養育費の詳細について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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浮気と親権の関係
「浮気」と「親権」は別問題と考えて良いでしょう。
浮気をしたからといって、必ずしも親権者として相応しくないと判断されるわけではありません。
親権を獲得するために重視されるのは、
- 従前の監護実績
- 監護能力(子供の日常の世話がどれだけできるか)
- 現状性の尊重(子供の生活環境が安定しているのであれば、現在の環境を維持したほうが良いという考え方)
- 子供の意向など(子の年齢がおおよそ12歳以上の場合)
そのため、たとえ浮気をしたのが妻であっても、現状、子供と一緒に暮らし、日常の世話を主に行っているのが妻であり、妻が親権を主張すれば、子供の親権者となるのは妻となる可能性が高いと考えられます。
父親が親権を獲得するための具体的な方法など、親権について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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妻の浮気と慰謝料に関するQ&A
- Q:
妻の浮気が発覚しましたが、決定的な証拠が見つかりません。慰謝料請求は難しいでしょうか?
- A:
配偶者が浮気をしていることがほぼ確実だと推認できる場合であっても、決定的な証拠がなければ、協議や調停で相手にはぐらかされるおそれがあります。
また、裁判でも提出された証拠や双方の主張をもとに判断されるので、慰謝料請求は難しいと考えられます。決定的な証拠がないまま慰謝料を請求しても、妻の行動がより慎重になり、証拠を隠されるおそれが大きくなるだけです。
このような場合には、離婚問題について経験豊富な弁護士に相談し、有力な証拠の集め方についてアドバイスを受けることをお勧めします。
- Q:
別居中の妻が浮気をしているようです。このような場合でも慰謝料請求は可能でしょうか?
- A:
浮気をしたタイミングによると考えられます。
例えば、妻が夫と同居中から浮気をしていた証拠があり、別居した後も浮気相手との関係が続いているという場合であれば、妻の浮気が原因で夫婦関係が破綻したとして、慰謝料が請求できると考えます。
また、同居中に浮気をしたという明確な証拠がなくても、妻の別居先が浮気相手の家という状況であれば、同居中から浮気をしていたと推認され、慰謝料を請求できる可能性があると考えます。
しかし、別居して数年後など、ある程度の期間が経過した後に妻が浮気をした場合は、浮気が原因で夫婦関係が破綻したのではなく、既に夫婦関係が破綻した後の不貞行為であると判断され、慰謝料が発生しない可能性があります。
浮気した妻への慰謝料請求で、わからないことがあれば弁護士に相談しましょう
妻の浮気を原因として慰謝料請求をするためには、妻と浮気相手が肉体関係をもったことをうかがわせるような、決定的な証拠が必要になります。このような証拠がないと、「浮気なんてしていない」と言い逃れされてしまいますし、妻もより慎重に行動するようになり、証拠を集めることがますます難しくなってしまいます。
妻が浮気しているのではないかと疑いを持たれている方は、弁護士法人ALGの弁護士にご相談ください。私たちは、離婚に関する専門のチームを設けていますので、証拠収集に関することなど、専門性の高い有効なアドバイスをご提供します。ご依頼者様一人ひとりに寄り添った親身な対応で、慰謝料の獲得や有利な条件で離婚をするためのサポートを行います。ぜひ、一度お問い合わせください。
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- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)