Interview with a lawyer.
プロフェッショナルパートナー 弁護士 岡本 珠亀子Shukiko Okamoto
- 出身校:東京大学 法学部、立教大学 法務研究科(法科大学院)
- 所属弁護士会:東京弁護士会
- 所属法律事務所:弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所
弁護士 岡本 朱亀子にとっての「離婚弁護士」とは
そもそも、「離婚弁護士」ってどういうものかというと、離婚案件をたくさん扱っていて、離婚案件に興味がある弁護士のことです。それから、自信を持って「離婚弁護士です」と言える弁護士のことだと考えています。 というのも、弁護士業界では、「私、離婚専門にしています」って言うと、例えば企業法務を専門にしている弁護士と比べたら、かっこいいとは思われにくいんです。「誰でもできるでしょ」と言われがちで。そんななかで、離婚弁護士だと堂々と言えるというのは、その人なりのポリシーを持ってやっているのかなと思います。
そして、私にとっての「離婚弁護士」とは、アイデンティティの一部だと思います。 離婚関係の案件を扱っていくうちに、「自分は離婚を専門にする弁護士だ」と、だんだんと自信を持てるようになりました。「離婚弁護士」ということばは、私の仕事を特徴づけるものでもありますし、今、「あなたは何の専門の弁護士ですか?」と聞かれたら、悩まずに「離婚専門の弁護士です」という言葉が出てきます。「離婚弁護士」は、私のアイデンティティになってきたと感じます。
to interview
離婚弁護士と普通の弁護士との違いは何ですか?
当然、離婚案件をたくさん扱っているかは重要ですね。ただ、離婚事件をたくさん経験しているだけで離婚弁護士なのかというと、違うのではないかと思っています。 いわゆる普通の弁護士って、離婚案件は色々な案件の一部という感じで、わりと他の案件の方がメインって感覚を持っているかもしれないですね。まんべんなく様々な分野の案件をやりたいっていう弁護士は多いので、色々な案件をやるなかで、「離婚もやります」「離婚もできます」というのが、普通の弁護士なのではないかなと思います。なので、離婚事件についても、他の事件と同じように法律的に正確なのかということを追求してしまいがちです。 ですが、私自身、離婚事件を経験すればするほど、法律論ではなく、依頼者や依頼者の家族の人生が見たい、幸せになって欲しいという気持ちが高まってきました。離婚弁護士の価値は、法律論を越えたところにあるのではないかと思っています。
離婚弁護士の仕事のやりがいは、どのようなところに感じますか?
やっぱり、「その人の人生に関われる」ってところですね。離婚問題には色々な解決方法があるので、試行錯誤しながら一番良い解決方法を探す、その作業・過程は、やりがいがあります。似たような案件はあっても、依頼者の求めるところはそれぞれ違ったりしますし、一つとして同じ案件なんてないですから。
相談を受ける際、心がけていることはありますか?
相談者が一番何を求めているのかを探り、色々な価値観から物事を整理していくことを心がけています。 離婚したい人は、離婚することによって幸せになりたいわけですから、「その人の“幸せ”って何なのか」というところを、相談を受ける際はすごく聞きますね。「なんで離婚したいと思ったのか?」「離婚した後にどういう風に生活したいのか?」「こういう風に生活したいと思っているみたいだけど、不安はどこにあるのか?」とか、過去の話から将来の話、現在の話も含めて全部聞きます。 また、経済的な価値観や精神面の価値観は、人によって違います。自分の視点でみるか、子供の視点でみるか、まだ子供が小さい場合は子供の今後の成長をメインにみるかとか、視点も様々あります。なので、相談者と話をするなかでは、その人がどういう価値観・視点を大事にしているのかということも、探っていきますね。
女性弁護士ならではのサポートとして、どのようなことが考えられますか?
「女性の弁護士が良い」と言ってくださる女性のお客様に対しては、「共感力」が一番大きいですかね。やっぱり、女性同士わかるところって多いんですよ。ちょっと話すだけで、「ああそうそう!」ってなるんですよね。 妊娠・出産とか、女性としての価値観で共感できるところは、男性の弁護士よりはあるのかなとは思いますね。でも一番は、女性同士だと思って気分を楽にしてあげられることですかね。女性の弁護士だから話しやすいという部分は、あると思いますよ。女性弁護士ならではのサポートは、「共感」からの、「前向きな解決への導き」ですかね。
一方で、男性のお客様からも、「女性の弁護士が良い」と希望されることはあります。主には、「女性の気持ちがわからないので、女性の立場で妻の気持ちを推測してほしい」と言われます。それに対して、わりとストレートに答えると、男性としては、「まさかそう思っているとは気づきませんでした」ってことも多いみたいです。男性のお客様に対しては、女性目線の意見を伝えることで、妻側の気持ちを理解する助けになるというのが、女性弁護士ならではのサポートとして大きいかもしれません。
離婚問題に悩んでいる方に、弁護士を選ぶときのポイントをアドバイスするとしたら、どのようなことが挙げられますか?
とても難しいですが、私は「自分の感覚を大事にして選べ」ってアドバイスしますね。 まずは相談に行き、その弁護士にお願いしても良いのかどうかは、「直感」や「フィーリング」が結構大事だと思います。 離婚問題って、1つの案件に対しても色々な解決方法があるんですよ。だからこそ、自分と同じような価値観を持っている弁護士の方が、意図することをくみ取ってもらえるし、自分の価値観に沿った提案をしてくれるし、結果的に納得がいきやすいと思います。 それから、相談するときの姿勢としてアドバイスしたいのは、「自分はこうしたいです」という意思をちゃんと伝えること、伝えたうえで弁護士がその意思に沿った道筋で進めてくれそうかどうかを見極めることです。受け身の姿勢ばかりでいると、後で「なんかしっくりこないなあ…」って思うことになるかもしれないです。
最初の相談は、なるべく、「自分がどうしたいか?」「どういう方向性を目指しているか?」「一番不安なところはどこか?」といったことを、どんどん言ったり、聞いたりした方が良いと思います。 もちろん、自分からうまく話せないときもあると思います。そのようなときに、質問を投げかけてくれる弁護士かどうか、察するのがうまい弁護士かどうかということも、今後依頼して付き合っていくうえで必要な要素かもしれないですね。そういうのも、結局は「マッチング」や「フィーリング」っていうところなんですよね。
依頼者から言われて嬉しかったことは何ですか?
「岡本先生に会えてよかったです。」これは嬉しいですよね。 他にも、「手続きは長かったけど、岡本先生がいたからがんばれました。」や、「これから前を向いていけます。」といったことも、言われて嬉しかった言葉ですね。 案件を進めていく途中でも、「依頼者と弁護士」という関係性を抜きに、結構本音で色々と話せたときは嬉しいですね。ときには趣味の話もあったり、子供のことについて色々話してくれたり。 あと、依頼者としてはすごい揉めに揉めるかなと思ったら、「意外にさらっと終われてよかったです。」というところで、仕事の価値を褒められることもあります。 なんにしても、感謝の気持ちを伝えてもらえると、嬉しいですよね。
今まで解決してきた事例のなかで、特に印象に残っていることはありますか?
特に、親権や面会交流といった子供関係の案件は、立証が難しいし、関わっている人たちの感情の整理もしにくいしと、とても労力がかかります。なので、どうしても印象に残るっていうと、子供関係の案件になりますね。
今まで解決してきた事例のなかに、男性側が親権を獲得することができた事例があったのですが、最後の結論が出るときまでドキドキでした。親権は、基本的には女性側が獲得しやすいので。 この事例では、夫婦仲が悪くなって、夫が子供を連れて実家に帰り、別居していました。依頼者である夫は、一生懸命に子供を育てていました。私もその依頼者と子供が一緒にいるところで会いましたが、信頼関係が厚く、この父子を離すなんてことはできないな、と感じたのを覚えています。 最終的に、和解はせずに判決までいき、男性側(夫)がしっかり子供を監護している、周りの監護補助・サポート体制も整っている、それから子供と父親の信頼関係が強い、というようなところを主張した結果、男性側に親権が認められました。 親権争いにおいて、男性側は、どういう証拠を出すかが非常に難しいです。やっぱり、親権は女性側に有利なので。この事例でも、普通に考えたら相手方(女性側)の方が有利になり得ましたが、できるだけのことをしてアピールしたことが、裁判官に響いたのだと思います。
離婚問題に悩まれている方へ
離婚問題に悩んでいる方、まずは相談に来てください。自分のなかで整理がつかないなら、やっぱり他の考え方を知ることが大事です。
それから、ネットだけに頼ってはだめ、ということです。ネットの情報は正確ではないこともあります。 本やネットで得られる情報はほんの一部である、ということも伝えておきたいです。実際に経験してみないとわからないことはたくさんあるので、そういう情報を得るだけでも、相談に来た方が良いと思います。とりあえず情報を仕入れるっていうのは、大事です。
それに、自分の立ち位置って、自分じゃ見れないから、人に評価してもらった方が良いんですよね。自分の立場を過大評価していたり、過小評価していたりすることもあるので。相談したら、自分の立ち位置もわかります。そういうのは、本やネットの知識だけではわかりません。 まずは、相談しましょう。解決方法を知るだけでなく、気持ちの整理もできますよ。
弁護士法人ALGでは、離婚案件を数多く扱っているので、引き出しが豊富です。「あの事例に近いな」というようにわかるので、解決方法にしても、提案する引き出しがたくさんあります。一つ一つ、様々な案件に対応して、一番良さそうな方向性を示せるというのは、私たちの強みであると思います。