円満離婚ってなに?成功させる6つのポイント!

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

「相手と揉めることなく、円満に離婚したい」と思われる方は多いでしょう。
しかし、離婚の話し合いは口論に発展することも多いため、円満離婚は簡単に実現できるものではありません。相手の気持ちを尊重し、譲り合いながら話し合いを進めることが重要です。
そこで本記事では、円満離婚の切り出し方や離婚条件、円満離婚を成功させるためのポイントなどを詳しく解説していきます。離婚の進め方にご不安がある方は、ぜひご覧ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-979-164
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メールで相談するこの記事の目次
円満離婚とは
円満離婚とは、夫婦が揉めることなく、お互いが納得したうえで離婚が成立することをいいます。夫婦の話し合いだけで解決することから、「協議離婚」の1つとされています。
平和的な解決を目指す方にとっては良い方法ですが、円満離婚にこだわりすぎると離婚条件で損をしてしまう可能性もあります。
そのため、「相手に配慮しつつ、求めることはしっかり主張する」という姿勢で臨むことが重要です。
調停でも円満離婚できる?
円満離婚と似た言葉に「円満調停」(夫婦関係調整調停(円満))がありますが、2つは全くの別物です。
円満調停とは、夫婦関係が悪化したとき、第三者を挟んで関係修復を目指す手続きです。離婚ではなくやり直しを目的としている点で、円満離婚とは異なります。
また、円満離婚は「離婚したい側」から持ち掛けるのに対し、円満調停は「離婚を避けたい側」が申し立てるのが特徴です。
詳しくは以下のページもご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
円満離婚のメリット・デメリット
【メリット】
- 短期間で離婚できる
円満離婚では、離婚条件などの争いがないため、スムーズな話し合いが可能です。お互いが合意すれば、すぐにでも離婚を成立させることができます。 - 費用がかからない
夫婦で話し合うだけなので、基本的に費用はかかりません。手軽さを求める方には大きなメリットでしょう。 - 離婚後も良好な関係を築きやすい
お互いに納得したうえで離婚するため、養育費の支払いや面会交流などでトラブルが起きにくくなります。また、両親の仲が良いことは子供の健全な成長にも繋がります。
【デメリット】
- 離婚条件を見落としやすい
夫婦だけで話し合うと、離婚条件の取り決めが漏れる可能性があります。また、専門知識がないため、自身に不利な条件で合意してしまうリスクもあります。 - 相手の問題を見逃すおそれがある
相手が自分の不倫などを隠し通すため、円満離婚を持ち掛けてくることがあります。その結果、離婚後に相手の不倫が発覚するケースも珍しくありません。
円満離婚を成功させる6つのポイント
円満離婚を成功させるため、以下の6つのポイントを押さえておきましょう。
- ①離婚後の生活を考えておく
- ②離婚話は冷静に切り出す
- ③配偶者としっかり話し合う
- ④時間がかかっても焦らない
- ⑤話し合って決めたことを公正証書に残す
- ⑥離婚問題に詳しい弁護士に相談する
以下で詳しく解説していきます。
①離婚後の生活を考えておく
離婚後の生活について、あらかじめ見通しを立てておきましょう。準備が不十分なまま離婚に踏み切ると、生活が苦しくなり、離婚を後悔するおそれがあります。
具体的には、以下のような項目について準備しておく必要があります。
- 仕事
- 生活費
- 住居や引っ越し先
- 保育園、幼稚園、学校
- 養育費
また、これらは離婚条件の取り決めにも影響するため、できるだけ配偶者と話し合う前までに決めておくことをおすすめします。
②離婚話は冷静に切り出す
円満離婚では、離婚の切り出し方が特に重要です。
切り出すタイミングとしては、お互いが冷静に話し合えるときを狙いましょう。子供がそばにいる時や、相手の機嫌が悪い時、夫婦喧嘩の最中などは避けるべきです。
また、離婚の意思とその理由は、濁さずはっきり伝えることが重要です。ただし、「あなただけが悪かった」「あなたの○○がダメだった」など、相手の尊厳を傷つけるような言い方は控えましょう。
切り出し方次第では、喧嘩や言い合いになり、円満離婚が遠ざかってしまう可能性があるため、注意が必要です。
③配偶者としっかり話し合う
離婚の話し合いでは、自分の希望を伝えつつ、相手の意見にも耳を傾けるのがポイントです。
また、相手の同意を得やすくするため、離婚条件は多少譲歩することも必要です。
一方、円満離婚にこだわるあまり、相手の言い分だけで離婚条件を決めるのも問題です。相手は相場から大きく外れた条件を提示してくる可能性もあるため、安易に同意すると損をしてしまうリスクがあります。
④時間がかかっても焦らない
「早く離婚したい」と思っても、焦りは禁物です。焦って話し合いを進めると、こちらに不利な条件で離婚が成立してしまう可能性があるためです。また、離婚条件の取り決めを忘れ、後にトラブルとなるおそれもあります。
円満離婚は、話し合いを十分重ね、お互いが納得したうえで離婚を成立させることが重要です。そのため、離婚成立までは半年~1年程度かかると想定しておくと良いでしょう。
⑤話し合って決めたことを公正証書に残す
話し合いで決めた内容は、「公正証書」に残しておきましょう。
公正証書とは、公証役場で公証人のもと作成する公文書のことです。高い証明力を持つため、後に言った言わないのトラブルが起きるのを防ぐために有効です。
また、公正証書の原本は公証役場で「20年間」保管されるため、紛失などの心配もありません。
さらに、「強制執行認諾文言付公正証書」にしておくことで、相手が約束を守らない場合も、裁判手続きを経ることなく財産を差し押さえ、強制的にお金を回収することができます。
公正証書の詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
⑥離婚問題に詳しい弁護士に相談する
円満離婚を成功させるには、事前の準備をしっかり行い、どのような離婚条件にすべきかよく考えることが重要です。とはいえ、必要な準備や適切な離婚条件の内容は人それぞれ違いますから、悩んだときは離婚問題に詳しい弁護士に相談するといいでしょう。
数々の離婚問題を解決してきた弁護士なら、豊富な経験と知識をもとに、それぞれの状況に応じた適切で具体的なアドバイスができます。弁護士のアドバイスを受けることで、安心して話し合いに臨めるでしょう。その結果、スムーズに話し合いを進めやすくなりますし、不利な内容で離婚が成立してしまうのを防ぐこともできます。
合わせて読みたい関連記事
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-979-164
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メールで相談する円満離婚する際に決めておくべき6つの条件
離婚する際は、以下の事項について取り決めておく必要があります。
- 財産分与
- 年金分割
- 慰謝料
- 親権
- 養育費
- 面会交流
- 周囲への説明(親族、友人等)
取り決めを忘れると、円満離婚できても離婚後にトラブルとなるおそれがあるため注意が必要です。また、ある程度相場を知っておくと、話し合いがスムーズに進むでしょう。
それぞれの内容や相場について、以下で解説していきます。
財産分与
離婚する際は、婚姻中に夫婦で協力して築き上げた財産(共有財産)を、夫婦間で分け合うことができます。これが「財産分与」と呼ばれる制度です。共有財産になるのは、例えば次のようなものです。
- 婚姻中に稼いだお金を貯めた預貯金
- 婚姻中に購入した家や車
※結婚する前に貯めたお金等で購入した場合は対象外 - 婚姻期間に相当する分の退職金
円満離婚の場合、どの財産をどのように分け合うかは、夫婦で話し合って自由に決めることが可能です。
例えば、妻が「離婚後も現在の家に住み続けたい」と考えた場合、家を妻に譲る代わりに、夫は預貯金を多めにもらうなど、折り合いをつけながら決めると良いでしょう。
財産分与についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
年金分割
年金分割とは、結婚していた期間に夫婦で納めた「厚生年金保険料」を、離婚時に分け合う制度です。厚生年金に加入していない方や、相手よりも収入が少ない方は、将来受け取れる年金額が増える可能性があります。
ただし、年金分割は離婚をした日の翌日から2年を経過すると請求できなくなるので、離婚時に話し合っておくことが重要です。
年金分割の詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
慰謝料
不貞行為やDVなど、離婚の原因が相手にある場合、離婚時に「慰謝料」を請求できる可能性があります。
離婚慰謝料の相場は「100万~300万円程度」とされていますが、お互いに合意しているなら金額は自由に決められます。ただ、円満離婚を目指すのであれば、相手が到底支払えないような高額な慰謝料を求めるのは避けた方がいいでしょう。
円満離婚の中には、「過去のことだからすでに許している」「後腐れのないようにしたい」といった理由から、慰謝料の請求を放棄するケースもあります。
離婚慰謝料の詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
親権
未成年の子供がいる場合、離婚時に子供の「親権者」を決めなければなりません。
ポイントは、「子供にとってどうするのが一番幸せか」を考え、冷静に話し合うことです。たとえ意見が対立しても、子供にすべてを押し付けて親権者を選ばせるなど、夫婦の問題に子供を巻き込むことは避けましょう。
また、親権を得る代わりに面会交流を充実させるなど、お互いに譲り合いながら、“子供のため”を最優先にして決めていきましょう。
親権の詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
養育費
離婚後に子供と離れて暮らす親は、もう一方に「養育費」を払う義務があります。
しかし、支払条件などをめぐり離婚後にトラブルとなるケースも少なくありません。そのため、離婚時は以下のような事項について具体的に取り決めることが重要です。
- 養育費の金額や計算方法
- 支払日
- 支払方法
- 支払期間
なお、支払期間は「子供が成人するまで」というのが基本です。
ただし、大学に進学する可能性が高い場合、成人に達した後も授業料などがかかるため、支払期間を「子供が大学を卒業する3月まで」と定めることも可能です。
面会交流
子供がいる場合、親権や養育費に加えて「面会交流」についても取り決める必要があります。
面会交流とは、子供と離れて暮らす親が、定期的に子供と会って遊んだり、手紙をやり取りしたりして交流することです。離婚後も両親と触れ合うことで、子供が健全に安心して成長できると考えられています。
また、面会交流は「子供のための制度」なので、親の感情や都合で拒否することはできません。
そのため、「浮気したから面会交流させない」「子供に会わせたくない」などの主張も基本的に認められません。
面会交流の詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-979-164
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メールで相談する円満離婚をするためにしてはいけないこと
円満離婚を目指すには、いくつか注意点があります。具体的には、以下のポイントを押さえながら話し合いを進めることが重要です。
相手の嫌いなところを言わない
相手に不満があっても、話し合いには持ち出さないようにしましょう。相手の反感を買い、言い合いになるおそれがあるためです。また、無事に離婚が成立しても、離婚後に良好な関係を築くことが難しくなるでしょう。
過去のことを蒸し返したくなる気持ちは我慢し、離婚に関して必要ないことや言わなくてもいいことは、あえて触れないようにするのが得策です。
あまり多くの人に相談しない
離婚の相談は、親族や友人など信頼できる人にのみ行うようにしましょう。
多くの人に相談すると、こちらの本音が相手の耳に入り、反感を買うおそれがあります。また、事実と異なる内容が伝わり、トラブルになるリスクもあります。
せっかく円満離婚できそうなのに、相談がきっかけで喧嘩になるのは非常にもったいないといえます。そのため、相談相手は慎重に選ぶようにしましょう。
欲深くなりすぎない
円満離婚するには、ある程度譲歩することも必要です。 例えば、どちらも「親権」が欲しい場合、お互いが主張し合っても話し合いは進みません。そこで、親権は相手に譲る代わりに、面会交流を充実させてもらうなど、譲歩しながら取り決めることが重要です。
また、離婚後も同じ家に住みたいとお考えの場合、財産分与で家を譲ってもらい、その分相手には預貯金を多めに渡すなど、公平な取り決めを心がけましょう。
譲歩し合うことで、お互いに納得しやすくなり、円満離婚できる可能性が高くなります。
円満離婚に関するQ&A
- Q:
円満離婚後に不貞が発覚した場合は慰謝料請求できますか?
- A:
この場合、時効が成立するか否かで、慰謝料請求できるかどうかが決まってきます。
具体的には、不貞の事実を知ってから3年間、または不貞行為があった時から20年間が時効のリミットとなります。時効が成立していなければ、円満離婚後に相手の不貞が発覚した場合であっても、慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、離婚成立後となると、不貞の証拠集めや話し合いが難しいケースもあります。また、裁判などに発展すると、せっかく円満離婚できた意味がなくなってしまいます。
穏便に解決するためにも、離婚後の慰謝料請求については弁護士に相談することをおすすめします。
- Q:
円満離婚をするのに費用はかかりますか?
- A:
円満離婚では、基本的に費用はかかりません。
一方、裁判などに発展すると「申立て費用」などがかかるため、経済的な不安がある方は円満離婚がおすすめです。ただし、円満離婚でも以下のような費用はかかる場合があります。
- 別居時の引っ越し費用
- 弁護士に依頼する際の弁護士費用
- 話し合いを外で行う場合の交通費や飲食代
- 公正証書の作成費用
なお、公正証書の作成にかかる費用については、以下のサイトで確認いただけます。
円満離婚を進めたい方は弁護士にご相談ください
円満離婚では、焦らず冷静に、相手とじっくり話し合うことがポイントです。
しかし、相手に何らかの不満があると、つい感情的になったり、ストレスを感じたりすることも多いでしょう。それによって言い合いになれば、円満離婚の成立も遠ざかってしまいます。
「円満離婚の進め方がわからない」「無事に円満離婚できるか不安」などとお悩みの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。弁護士のサポートを受けることで、話し合いがスムーズに進み、円満に離婚できる可能性が高くなります。また、弁護士に悩みを打ち明けることで、精神的に楽になるでしょう。
弁護士法人ALGは、離婚問題に精通した弁護士が多数在籍しています。豊富な知識や経験をもとに、円満離婚の成立を全力でサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)